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日経サイエンス 2000年7月号
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群れが生み出す知能
■E. ボナボー/G. セロラス
アリやハチ,シロアリといった社会性昆虫は,コロニーをつくって生活している。コロニーの昆虫は1匹1匹が自分の計画を持っていて,群れ全体が高度に組織化されているように見える。個々の活動を結びつけるのに何ら管理されている様子はない。実際,社会性昆虫の研究者は,コロニー内での協調行動が自己組織化されていることを発見した。つまり,社会性昆虫のコロニーでは,さまざまな状況に応じて,個々の相互作用から全体の協調が生み出されている。
個々の行動の相互作用は単純で,例えば,アリの場合,別のアリが残したにおいを追うだけだ。しかし,集団として見ると,餌(えさ)場までの無数の経路のうち,最短のものを選ぶといった難しい問題に答えを出している。社会性昆虫に共通のこうした性質は群知能と呼ばれるものの一種だ。
最近,群知能をさまざまな問題に応用する研究が活発になってきた。餌を探し回るアリの行動をもとに,電話回線網の混雑を調整する新しい方法が生み出された。大きな餌を運ぶアリたちの協調行動を参考に,複数のロボットが荷物を運ぶ効率のよいアルゴリズムができている。アリが仲間の死骸を集め,幼虫を大きさごとに分類する方法にヒントを得て,銀行が顧客のデータを解析する新たな方法が生まれた。ミツバチの役割分担の仕方を研究して,工場の生産ラインを合理化する試みもある。(原文より)
著者 Eric Bonabeau/Guy Theraulaz
2人は社会性昆虫の行動とその複雑系への応用を研究している。ボナボーはパリのユーロビオスにいる科学者のチーフである。パリ大学より,理論物理学でPh.D.を,計算機科学と応用数学で修士号を取得している。テロラスはフランス・トゥールーズのポール・サバティエ大学にある国立科学研究所の行動生物学・動物心理学研究所の研究員。プロヴァンス大学より神経科学と行動生物学でPh.D.を取得。
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