日経サイエンス  2000年6月号

特集:火星 有人探査のシナリオ 

着陸までの飛行プラン

G. マッサー M. アルパート(Scientific American編集部)

 火星への有人探査の行き方を,打ち上げ,推進システム,ルート別にいろいろなアイデアを紹介する。

 

 火星に行くのは大変だ。この惑星は地球から8000万kmより遠くにあり,往復に何年もかかるからだ。しかし,科学者や技術者は,有人火星ミッションに必要な技術上の難題は解決済みだと言っている。最大の障害は膨大な費用だという。

 

 火星ミッションの費用を決めるのは,つまるところ「探査機の重量」だ。なぜなら探査機の中で最も金のかかるものは燃料だが,探査機が軽ければ燃料は少なくて済むからだ。だから,火星への飛行計画づくりの努力の大半は,安全や科学を不当に犠牲にしないで,いかに探査機を軽くするかということに注がれてきた。1952年に,ロケットのパイオニアであるフォン・ブラウン(Wernhervon Braun)が描いたのは,従来の化学燃料ロケットで推進する3万7200トンの宇宙船の艦隊だった。その艦隊を地球軌道に運ぶだけでも、数千億ドルの費用がかかる。それ以来プランナーは費用をしぼることに努力を傾けたが,その方法は,原子力や電磁力で推進するロケットを使ったり,宇宙飛行士の数や冗長性を減らしたり,燃料を火星の現地で製造したりすることだった。

原題名

How to Go to Mars(SCIENTIFIC AMERICAN March 2000)