日経サイエンス  2000年4月号

特集:リニアモーターカーの行方

急浮上する米国の新方式

R. F. ポスト(ローレンス・リバモア国立研究所)

 米国で「インダクトラック」とよばれる磁気浮上の新たな方式が考え出された。これはより安上がりの磁気浮上列車システムにつながる可能性が大きく,ロケット発射時の加速にも利用できるとして期待されている。

 

 新方式は浮上に永久磁石を使っているのが最大の特徴。電磁石や超電導磁石を使わないので,システムが単純になり,浮上に必要な電力も小さい。まだ,小さな実験装置で性能を確認している段階だが,これまでの実験結果では効率の高さが確認できた。

 

 米航空宇宙局(NASA)は,この方式がロケット発射時の加速補助手段に応用できるとみて,開発を支援し始めている。うまくいけば打ち上げに必要なロケットの燃料を30~40%節約できるようになるだろう。

著者

Richard F. .Post

米国カリフォルニア州リバモアにあるローレンス・リバモア国立研究所のエネルギー部門の主任研究員で,カリフォルニア大学デービス校の名誉教授。1951年スタンフォード大学から物理学博士を取得,40年間リバモア研究所で核融合の研究に従事した。電子物理学やリニアモーター,エネルギー貯蔵の研究もしている。

インダクトラックシステム関連のホームページは
http://www.llnl.gov/str/Post.html
日本で磁気浮上列車を開発している鉄道総合技術研究所のホームページは
http://www.rtri.or.jp/index.html

原題名

Maglev: A New Approach(SCIENTIFIC AMERICAN January 2000)