日経サイエンス  2000年4月号

氷表面の謎を解く

J. S. ウェットラウファー J. G. ダッシュ(ワシントン大学)

 氷の表面は,融点の0℃よりかなり低い温度でも,凍らない水の膜に覆われていることがわかってきた。これによってスケートの滑りやすさから雷雲の帯電現象までをきれいに説明できるようになった。

 

 氷の表面が融点以下の温度でも液体状の水で覆われているのは,「表面融解」とよばれる現象だ。スケートが滑りやすいのは氷がスケートで押しつぶされ,液体状になるからと説明されてきたが,氷表面のミクロの状態を調べると,圧力がなくても表面が液体状になっていることが判明した。

 

 寒冷地では地面が凍結によって隆起する「凍上現象」がみられるが,これもこの表面融解で説明できる。さらに雷雲の上部がプラス,下部がマイナスに帯電する現象も表面融解の状態にある氷結晶の衝突が引き起こすことが示された。

著者

John S. Wettlaufer / J. Greg Dash

2人ともワシントン大学の物理学者で,共同で研究することが多い。共同研究では,氷の表面の微視的な性質や相転移が日常のスケールの大きな現象にどうつながっているかということに焦点を当てている。

原題名

Melting Below Zero(SCIENTIFIC AMERICAN February 2000)