日経サイエンス  2000年3月号

特集:気球新時代

静かで機敏な新ツェッペリン号

K. G. ハーゲンローヒャー(ツェッペリン飛行船技術会社)

 新しい空気力学のコンピューターモデルを開発し,最新の材料を使って,ツェッペリン飛行船会社は欧州の空に再び新ツェッペリン号を蘇らせた。

 

 1980年代後半,ツェッペリン飛行船建造会社の役員であるムグラーとコールマンは近代的な飛行船が将来の商品になると提案した。特に,彼らはハイテクツェッペリン飛行船が,環境保全の分野で,環境的に傷つきやすい地域を監視する安定なプラットフォームとして役立つだけでなく,広告や観光の分野で商売になると考えた。

 

 ツェッペリン飛行船建造会社の広範な記録公文書を見直し,開発グループは設計思想を打ち出した。もちろん,優先すべき点は安全性だった。浮揚ガスとしては不燃物のヘリウムを選んだ。加えて,船体の圧力が危険な時でさえも,飛行の適正化が要求されるようにした。

 

 また,私たちはいかに支援スタッフを少なくできるかを考えた。軟式タイプの飛行船は,文字通り浮かぶ巨大な船を捕まえ,地上へ着陸させるのに15人以上の地上クルーを必要とする。この作業は大変骨が折れ,しばしば危険を伴い,曳航などに大勢の地上クルーによる維持管理が必要になり,軟式飛行船の運用に多額な費用がかかる。私たちは,3~4人の極力少ない人数による支援作業チームで扱える新ツェッペリン飛行船を指向した。

著者

Klaus G. Hagenlocher

1997年以来,ツェッペリン飛行船技術会社の部長を務めている。新ツェッペリン飛行船を開発し,その技術を実用化したチームの責任者だった。 1962年にドイツのカールスルーエ工科大学機械工学科卒業後,ツェッペリン飛行船建造会社の子会社,ツェッペリンGmbHフリードリッヒスハーフェンに就職し,軽量構造物の開発に従事した。1972年にその会社の開発・設計のリーダーになり,1989年までその地位にあった。当時はツェッペリンNT開発の主任技術者だった。

原題名

A Zeppelin for the 21st Century(SCIENTIFIC AMERICAN November 1999)