|
|
|
|
| ◆特別賞[ヤング・ビジニア賞]◆ |
|
| 風による砂の移動 |
|
 |
|
|
| ● |
菅牧子(かん・まきこ) |
|
|
都立昭和高等学校教諭 |
| ● |
河村哲也(かわむら・てつや) |
|
|
お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科教授 |
|
|
| 図1 |
バルハン砂丘の形成過程(25日後) |
|
|
 |
|
|
|
| 図2 |
円柱周りの洗掘現象(200秒後) |
|
|
 |
|
|
|
|
 |
|
乾燥地では,風による砂丘の移動が沙漠縁辺のオアシス等に深刻な被害をもたらしている。移動砂丘を固定するため,草木を植えたり,藁を敷いたりするなどの防砂対策が行われているが,より合理的な対策を講じるためには,風による砂丘の移動を定量的に評価する必要がある。砂丘の移動は空間的・時間的にスケールの大きな現象なので,数値シミュレーションが有力な予測手段となる。
一方,工学的に重要な砂の移動現象として,洗掘がある。洗掘とは,橋脚の上流側の川底が掘られる現象のことである。平面上に立てられた柱のまわりには,柱を上流側からU字形に取り囲む馬蹄形渦が形成されるが,これが柱の上流側の地面を掘り起こすため洗掘がおこると考えられる。洗掘は橋の強度に関わる問題なので,その程度を見積もり,洗掘を抑える方法を検討することが重要である。
本研究では,流れによる砂の移動を計算するひとつの方法を示したうえで,代表的な移動砂丘である三日月型のバルハン砂丘が形成されていく様子と,円柱まわりの洗掘の数値シミュレーションを行った。
本研究で用いた計算は次の3段階に分けられる;1)砂面上空の流れ場の計算,2)表面摩擦の計算および砂輸送量の推定,3)砂の輸送による砂面形状の変化の計算。3)の計算によって流れ場の形状が変化するため,1)〜3)の計算を時間ステップごとに繰り返す。
バルハン砂丘の形成過程を調べる目的で,初期に楕円状をした砂山に一定方向から風(10m/s)を吹かせて砂を移動させた。図1は25日後の砂丘形状の鳥瞰図である。黒い矢印は上空の速度場であり,砂面の色は砂面の高さで配色している。砂丘は平たくなりながら,その両端が風下側に発達し,バルハン砂丘と似た三日月形状に変化したが,その後は形状を保ちながら移動した。
次に,直径1mの円柱に速度10m/sの風を吹かせ,洗掘現象を再現した。図2は200秒後の表面形状の鳥瞰図であり,図1と同様の色づけをしている。図から,馬蹄形渦が円柱前面の砂を掘り起こして円柱後面に堆積させた様子がわかる。
このように,本研究で取り上げた計算方法が砂の移動現象の解析に有効であることが示された。また,動画を含むCGによる可視化が本研究で取り扱ったような複雑な現象を理解する上で効果的であることも明らかになった。 |
|
 |
|
| 審査講評 |
| 気体と固体の相互作用による自由境界問題の一例として,砂丘形成の部分的メカニズムの解明に迫った力作である。関連研究のしっかりとした調査,膨大なパラメタスタディ,説得力ある可視化の模索等が随所に感じられた。なお受賞者は,ベースとなる学位論文を,大学院一貫制博士課程に計3年間の在籍で書き上げている。 |
|
|