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◆特別賞[静止画賞]◆
LATによる3次元粒状体内部構造の可視化と定量化
松島亘志(まつしま・たかし)
  筑波大学 機能工学系講師
小長井一男(こながい・かずお)
  東京大学 生産技術研究所 第1部教授
石井高幸(いしい・たかゆき)
  東京大学 生産技術研究所
図1   LATの原理
図2   LATで可視化されたガラス粒状体断面画像(左)と,複数断面での画像を数値化・統合して,再構成した3次元粒状体配列(右)
 
 地盤工学や紛体工学で扱う各種材料は元々不連続な粒子の集まりであるが,工学上はその集合体(粒状体)としての力学特性,すなわち変形しやすさや強度,流動性などが問題とされる。実務では,粒状体を連続体と仮定し,通常の弾塑性構成則を用いるか,または問題ごと材料ごとの経験則を用いて対処することが多いが,一方で「粒状体の全体を変形させたときに個々の構成粒子がどのように運動するか」というミクロ構造とマクロ構造との関連についての研究も近年盛んに行われている。このような研究では3次元粒状体内部構造の把握が不可欠であるが,通常の実験でその内部構造を観察することは難しく,特別な可視化手法が必要となる。
 LAT (Laser-Aided Tomography)は,そのような可視化手法のひとつであり,ガラスブロックを粉砕して作成した粒子を用いて,その粒子をガラスと同じ屈折率の液体の中に沈めて模型を作成する。そしてレーザー光をシート状にして模型内を透過させる(図1)と,レーザーの通った断面内の粒子輪郭が浮かび上がり,内部の粒子配列を観察することができる(図2左)。さらにレーザーシートを平行移動させ,模型をスキャンすることで3次元的な粒子配列情報の観察も可能である。図2左に示すようなLAT画像から定量的な3次元粒子配列情報を取得するためには,粒子輪郭抽出という画像処理が必要となるが,LAT画像の場合,(1)粒子形状が複雑であること,(2)輪郭のみが光っているため,暗い部分が粒子内部なのか間隙なのかの判断の自動化が難しいこと,(3)接触点で粒子輪郭が重なるため別の粒子の輪郭への乗り換えが起こってしまう可能性があること,等の問題点がある。現在,いわゆるエッジ検出法と領域法の2つの手法のそれぞれから,より効率的な処理法を検討中である。
 図2右は,図2左での断面内を通る主な粒子について,半自動化エッジ検出法によって粒子輪郭を取得し,隣り合ういくつかの断面についての情報を統合して再構成することによって得られる粒子の3次元形状および配列である。このように,今までの技術では観測・測定の困難であった「不規則形状粒子からなる3次元粒状体内部の粒子形状および配列」を可視化,定量化する事が可能となった。
 実際の研究では,粒状体に力を加えて変形させ,そのときに内部でどのような粒子運動が発生するのかを検証する実験として,LAT要素試験を行っている。特に粒状体が降伏して,変形の局所化が発生する点に注目して研究を進めている。
審査講評
LATと画像計測処理を組み合わせて,粒状体内部の微細構造を視覚的に解析する魅力的な手法を提案している。提案手法は,より先進的な要素技術を取り込むことによって,地盤工学や粉体工学を含め,微細構造をマクロな特性に反映させることが必要となる各種分野に適用していくことが可能である。