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◆特別賞[静止画賞]◆
回転球殻熱対流による磁場構造
石原典雄(いしはら・のりお)
  名古屋大学大学院 理学研究科
素粒子宇宙物理学専攻 複雑性科学(理論)研究室
博士後期課程2年
木田重雄(きだ・しげお)
  文部省 核融合科学研究所
理論・シミュレーション研究センター教授
図1   回転球殻内の熱対流と磁場の構造
図1
図2   赤道面内の熱対流と磁場の構造
図2
 地球が固有の磁場をもっていることは古くから知られている。その成因として,地球中心部の外核内の熔融鉄が対流運動することによるダイナモ作用が有力であるが,形成メカニズムの完全な理解にはまだ至っていない。このメカニズムの解明を目的として,外核を回転する球殻内の熱対流でモデル化し,これを直接数値シミュレーションにより,どのような磁場構造が形成されるかを調べる。まず,6 対の渦柱からなる熱対流場が形成され,次に磁場の小さな種を入れると,最初,磁場は指数関数的に成長し,その後,磁気エネルギーが運動エネルギーの3〜4倍程度の準定常状態が得られた。
 コンピューターグラフィックスを用いた可視化法の工夫により,熱対流場と磁場の3次元構造の相関を解明する。  図 1は回転球殻内の熱対流と磁場の構造を示している。白い点が淀み点,赤い線が流線である。回転軸方向に伸びた円筒状の柱は渦度の強い領域を表しており,青(黄)色が時計(反時計)回りに回転している渦柱である。青い渦柱には左ねじの向きにねじられたらせん状の上昇流があり,2本の流線のうち,一方はすぐ上方にある淀み点に入り,他方は2つ西隣の黄色い渦柱の中に下降する。また,黄色い渦柱には,この他に青色の渦柱の上方にある淀み点からの流入もある。 褐色の曲面は磁場の強い領域を表している。強い磁場は,双曲的な淀み点の流出する方向に沿って形成されている。
 図 2は,赤道面における熱対流と磁場の空間構造を示している。流れは全体として時計回りに向いている。面内には,磁場強度の分布を表し,紫,青,緑,黄の順に強い。淀み点から流れ出る流線に沿って強い磁場が形成されている。
 回転球殻内の流れ構造と磁場構造の強い相関関係が淀み点,流線,渦度強度,磁場強度の等値面を可視化することにより明らかになった。
 3 次元ベクトル場の理解には等値面だけでは不十分で,流線のトポロジカルな構造を表示することによってはじめて,磁場と速度場の空間構造の相関をうまく捉えられる。このような数値シミュレーション結果の立体的な可視化法は,今後,地球の現象とシミュレーション結果の直接比較が可能となる時代が到来した際,逆に地球内部の情報を予知する有力な手段になるものと期待される。
審査講評
個々は既存の技術であるが,流線,淀み点,渦度強度,磁場強度の等値面を巧みに組み合わせ,回転球殻内部の複雑な流れ構造と磁場構造の相関関係を実に分かりやすく可視化している。各種の可視化要素のサイズや色の選択が,作品がもつインパクトの大きさに強く影響を与えることを,今後応募される読者各氏はぜひ学んでほしい。