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◆優秀賞[SGI賞]◆
流星群可視化システムの開発及び獅子座流星群のCGシミュレーション
山本晃裕(やまもと・あきひろ)
  名古屋大学大学院人間情報学研究科
物質生命情報学専攻情報処理論講座修士2年
安田孝美(やすだ・たかみ)
  名古屋大学情報文化学部助教授
横井茂樹(よこい・しげき)
  名古屋大学大学院人間情報学研究科教授
毛利勝廣(もうり・かつひろ)
  名古屋市科学館学芸課天文係学芸員
野田 学(のだ・まなぶ)
  名古屋市科学館学芸課天文係学芸員
鈴木雅夫(すずき・まさお)
  名古屋市科学館学芸課天文係学芸員
北原政子(きたはら・まさこ)
  名古屋市科学館学芸課天文係学芸員・天文係長
吉川 真(よしかわ・まこと)
  文部省宇宙科学研究所助教授
大河内俊則(おおこうち・としのり)
  作曲家
山田 卓(やまだ・たかし)
  DOMIC
 
図1  降交点を通過するTempel -Tuttle彗星
図1  
図2  彗星軌道に分布するダスト粒子
図2  
図3  流星群の中を通過する地球
図3  
 流星群は,古くから文献などにも記録されるなど人間にとって最も身近な天文現象の1つである。そんな中,1998年には獅子座流星群がやって来るということで大変な話題を呼んだ。獅子座流星群は過去に何度も大出現を繰り返しており,「流星群の王様」と呼ばれるほどある。しかも観測場所として日本が好適地なこともあって,マスコミなどで大きく取り上げられ,広く人々の関心を集める事となった。そこで我々は,解説用あるいは科学的な啓蒙のための映像を制作する事は大変有意義であると考え,名古屋市科学館や宇宙科学研究所らと共に,獅子座流星群の可視化を試みた。
 一般に流星群は母彗星によって生成される。流星とは,太陽熱などの影響から母彗星内部より宇宙空間に放出されたダストが地球大気に衝突し,発光を引き起こす現象だからである。獅子座流星群の場合母彗星はTempel -Tuttle彗星で,およそ33年周期で太陽を周回運動している。図 1はTempel-Tuttle 彗星が降交点(彗星軌道と地球の公転面が交わる点)を通過した様子を示している。この前後に Tempel -Tuttle 彗星からダストが大量に放出されるのである。
 放出されたダストの軌道は放出速度や方向,放出された位置などによって決まるが,母彗星の軌道とはわずかに異なっている。長い年月が経過すると,その軌道のずれによってダストが母彗星の軌道上に広く分布することになる。この様子をシミュレーションしたのが図 2である。粒子を秒速 30mで母彗星から放出させると,450年ほどで軌道全体にダストが分布し流星群が生成されるのが分かる。
 このように,母彗星の軌道上にはダストが存在する。結果,地球が母彗星軌道に接近すると図 3 のようにたくさんのダストの中を地球が通過する形となり,地表では流星となって観測されるのである。
 これらの現象の可視化には,流星群生成シミュレーションや流星物質を描画するモジュールをC言語とOpen GLを用いて SGI Indigo2 上に実装して行った。我々と名古屋市科学館では,宇宙科学研究所にて算出された Tempel -Tuttle 彗星の軌道データを利用して CGを制作し,作曲家大河内氏や DOMIC山田氏の協力の元,ビデオパッケージ化した。
 この映像は,名古屋市科学館プラネタリウムで 10月に 2 万5000 人,11月には3万5000人の来館者に対して解説用として利用された。また,キー局全てを含むテレビや新聞などマスコミ40件余りからも提供依頼があり,教育的効果と共に社会的反響も大きかった。
審査講評
人々のロマンをかきたてる宇宙関係の作品は,その土台となるシミュレーションの正確さ,CGのこなれた選択,さらにストーリー構成の巧みさのすべてが満たされなければ,期待に反して企画倒れに終わってしまうことが多い。本作品には,昨秋に一般公開され,全国レベルで紹介され続けた実績に相応しい,美しさと力が認められる。