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| ◆特別賞[ニューフロンティア賞]◆ |
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実神経制御機構を持つ仮想人体の歩行シミュレーション
身体構造制約に基づく自然な動作発生 |
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荻原直道(おぎはら・なおみち) |
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慶應義塾大学大学院理工学研究科生体医工学専攻
山崎研究室 学振特別研究員 |
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山崎信寿(やまざき・のぶとし) |
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慶應義塾大学理工学部機械工学科教授 |
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通常の歩行運動は,直接上位中枢によって制御されているわけではなく,脊髄に存在する歩行リズム発生器からの信号と,下肢の運動状態を感知する自己受容器からの感覚フィードバック信号が下位レベルで統合されることによって自律的に生成されている。しかし,実際に歩行を生成している感覚−運動神経系全体の挙動を総合的に計測することは不可能であり,ある筋の運動指令の発生にどの感覚情報がどの時点で影響しているのかという神経系の具体的な働きは必ずしも明らかになっていない。このため本研究では,ヒトの神経系と筋骨格系の基本メカニズムをできるだけ忠実に模擬した仮想人体をコンピューター内に構築し,この仮想人体に自律的に歩行運動を行わせることによって,実計測が不可能な神経系の挙動を推定した。
ヒトの身体力学系は 2次元 7 節剛体リンクでモデル化した。各関節の可動域は,関節包などの軟部組織の抵抗をモデル化した粘弾性要素により制限されている。また,筋は下肢の代表的な 9 つの筋を考慮し,筋収縮の力学特性もモデル化した。神経系はα運動ニューロン,自己受容器である筋紡錘とゴルジ腱器官,歩行の基本的リズムを生成するリズム発生器,足底触覚受容器によって構成し,感覚−運動神経系の相互結合は,相反性神経支配や歩行に関わる反射回路などの実際の生理学的知見に基づいて構成した。α運動ニューロンでそれらの感覚・リズム信号が統合され,各筋へ運動指令を発生する。遺伝的アルゴリズムを用いて神経回路網の結合荷重を探索した結果,実際のヒトの歩行パターンと一致した歩行運動を生成することができた。
シミュレートされた神経筋骨格系の相互作用を全体的・直観的に把握するために,歩行運動の様子と神経系の活動状態を可視化するプログラムを C 言語を用いて自作した。α運動ニューロンや自己受容器は球で表し,神経の活動状態はこの球の表示の有無で表現した。さらに,自己受容器などの感覚器からα運動ニューロンへの信号の流れを線で表現した。これによって歩行運動中の感覚−運動神経系の情報処理の直観的把握が可能となった。本研究で提案する仮想人体モデルは,神経筋骨格系を詳細に模擬しているために,歩行メカニズムの解明に多くの示唆を与えるばかりでなく,整形外科やリハビリテーションなどの臨床分野における訓練や手術の効果予測など,様々な分野に応用することができる。 |
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| 審査講評 |
| 神経筋骨格モデルに基づく構成論的なアプローチによる人体の2足歩行の再現に関する最新成果である。方法論の実検証は今後の課題であるが,より実感的な人体アニメーションの生成にとどまらず,エルゴノミクスやリハビリテーションへの応用等,幅広い可能性を秘めている研究であり,本賞にふさわしい。 |
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