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◆特別賞[静止画賞]◆
超高強度レーザーとプラズマの相互作用の
3次元粒子シミュレーションにおける可視化
本多哲也(ほんだ・てつや)
  大阪大学大学院 基礎工学研究科 物理系専攻 電子光科学分野 博士前期課程 レーザー核融合研究センター
岡本匡代(おかもと・まさよ)
  大阪大学 レーザー核融合研究センター 技術員
福田優子(ふくだ・ゆうこ)
  大阪大学 レーザー核融合研究センター 教務職員
西原功修(にしはら・かつのぶ)
  大阪大学 レーザー核融合研究センター 教授
図1   スラブ状のプラズマに直線偏光の超高強度レーザー光を左から入射する。入射レーザー光は断面でガウシアンプロファイルをしており,偏光方向(電場の方向)は紙面に垂直な方向である。
図1-a
a プラズマ中を異常伝搬する,入射レーザー強度の最大値の0.4倍のレーザー等強度面の3次元構造。
図1-b
b 初期電子密度の0.6倍の電子等密度面の3次元構造。等密度面内では,電子密度がさらに低くなっている。超高強度レーザー光は,相対論効果と動重力により,電子密度の穴を掘りながら,その穴に閉じ込められた3次元構造をもつ非等方な(偏光方向に垂直な方向)フィラメントに分裂する。
図2   ストリームライン法によって求めた,レーザー中心軸近傍の自己生成電流ループの3次元構造。
観測した非等方なフィラメンテーションは,相対論的レーザーに特有な,レーザーの伝搬方向への電子の加速に伴う自己生成電流が生みだす200MGにも及ぶ高強度磁場による。
図2
 最近のレーザー技術の進展は著しく,出力1PW(=1015W),強度1018−20W/cm2もの非常に高出力・高強度のレーザーが出現している。この超高強度レーザー光を用いて,レーザー粒子加速器,X線レーザー,レーザー核融合の高速点火等を開発する研究が始まっている。1018W/cm2以上の超高強度レーザーでは,レーザー光の電場により加速され振動する電子の速度はほとんど光速になり,その運動エネルギーは静止エネルギー(moc2〜_ 500keV)以上になる。このような超高強度レーザー光中では相対論効果が重要になり,例えば,不透明な高密度プラズマが透明になるなど,これまで知られていなかった異常現象が生じる。我々は,3次元プラズマ粒子コードを用いて,高密度プラズマ中の超高強度レーザー光の異常伝搬の様子を調べ,強い非線形性のためレーザー光が非等方なフィラメント状に分裂することを初めて明らかにした〔図1(a)〕。
 この新しい現象の発見は,シミュレーションで得られる多量のデータを可視化することにより初めて可能となったものである。しかし,2,800万個もの粒子(粒子データは約1.3GB)を扱う大規模シミュレーションでは,データの可視化は容易ではない。観測データの抽出については,多量の粒子データを直接観測するのではなく,粒子の位置や速度を空間格子(983万)上に線形補間し,マクロな物理量である電荷密度,電流密度,電場,磁場など(約73MB〜219MB)に変換した。また,ハンドリングが容易で身近にあるパソコンを使ってある断面での2次元データによる可視化を行い,新しい現象の全体像を把握し,その情報を基に,図のような,より詳細な構造を知るための3次元データの可視化を行った。
審査講評
2,800万粒子という超大規模な並列粒子シミュレーションによって,プラズマとレーザ光の相互作用に迫ろうとする意欲的な作品。マクロ物理量変換と精緻なビジュアル表現による美しいイラストレーションを現実的な時間内に生み出すために,その前過程で,通常の計算環境を用いた疎視化を徹底して利用している点は,ぜひとも見習うべきアプローチであろう。