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| ◆優秀賞[SGI賞]◆ |
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| The Origin of the Moon |
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三浦均(みうら・ひとし) |
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理化学研究所 計算科学研究室 基礎科学特別研究員 |
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小久保英一郎(こくぼ・えいいちろう) |
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東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 日本学術振興会特別研究員 |
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一ノ瀬響(いちのせ・きょう) |
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作曲家 |
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| 図1 |
周地球円盤の初期状態 |
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| 図2 |
月の“種” |
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| 図3 |
ほぼ完成した月 |
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月は地球にもっとも近い天体である。しかし,その起源は今だ謎につつまれている。我々は月形成のシナリオの中で近年有力視されている巨大衝突説に基づき,N体シミュレーションを行ない,その結果を基に月の誕生の可視化を行った。
巨大衝突説では,火星程度の大きさの原始惑星が地球に衝突し,その衝突により月材料物質が周地球軌道に供給され,周地球円盤が形成され,そこから月が集積形成される。
周地球円盤の粒子の運動は地球の重力と粒子間の相互重力によって決まる。このような多体系の運動は解析的には解けない。そこでコンピューター上でN体シミュレーションを行ない数値的に解くことになる。N体シミュレーションには粒子間の相互重力を高速に計算する重力多体問題専用計算機HARPを用いた。周地球円盤の初期条件は粒子数10000,総質量0.05地球質量である(図左)。
計算は1000周期(実時間で約10ヶ月)まで行なった。1つの月が形成された。月の特徴は,質量0.01地球質量,軌道長半径3.8地球半径,離心率0.04,軌道面傾斜角0.0007ラジアンで,軌道長半径以外は現在の月に近い。軌道長半径のみ現在の約1/16であるが,これは集積後,地球との潮斥相互作用により大きくなる。
CGでは周地球円盤から1つの月が集積されるまでを表現している。まず,相互衝突により周地球円盤の厚みが減る。そして,円盤の密度が上がると重力的に不安定になり密度の大きい固まりができる。固まりは差動回転によりのばされ,渦巻状の密度波が形成される。渦巻状の密度波により粒子がロッシュ限界(粒子が合体できる境界)の外に運ばれ,合体して月の種となる(図中央)。月の種はロッシュ限界外に運ばれてきた粒子を集積しながら成長し,やがて月となる(図右)。成長した月は,残っている円盤を重力により地球に落す。こうして1つの月だけが残る。計算結果では月は実時間で約1ヶ月という短い期間で形成される。この結果は周地球円盤の初期条件にほとんどよらない。
可視化の作業はLightwave 3Dと自作のソフトウエアを併用した。粒子は大きさに応じてモデルを幾つか用意した。太陽光による影もレンダリング時に計算されている。粒子の合体を直感的に示すため,衝突エネルギーに応じてライトを光らせている。中心に位置する星は赤茶色の原始大気をもつ地球を示している。音楽は,映像と同調しつつ,月の形成というダイナミックな現象を表現した。スタイルはDrumユnユbassで,サンプリング素材として,M. Ravelの「ダフニスとクロエ」を使用している。 |
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| 審査講評 |
| 月の成因という誰もが興味をそそる話題を採り上げ,迫力ある可視化アニメーションに仕上げている。多体問題の専用シミュレーションという高度な実現技術を前面に出すことなく,巨大衝突説にまつわる諸概念を分かりやすくイラストレーションすることに徹している姿勢にはたいへん好感がもてる。 |
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