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◆入選◆
"Magic Light" による物体内部の観察
「超現実的なインタラクティブ展示方法「
宮里勉(みやさと・つとむ)
  (株)ATR 知能映像通信研究所 第五研究室 室長
井上誠喜(いのうえ・せいき)
  NHK放送技術研究所 マルチメディアサービス 主任研究員
    写真1
 筆者らは,見学者に「驚き・楽しさ・発見」を与え,見学者の感性を刺激する映像表現システムを検討している。映像の持つ感性を充分に再現するには,システム自体にも映像に負けない感性を付加する必要がある。そこで,VR技術を用いて非日常的な映像コンテンツ の表現・演出手法を考案した。このMagicLightは,デジタル博物館やバーチャル美術館などでの展示の一手法であり,仮想的なライトにより物体内部を見ることができる。
 MagicLightは,実空間から仮想空間内にシームレスに侵入する仮想光線である。仮想光線は見学者の持つライトの位置から円錐状に投光され,ライトの位置および照らされる物体の3次元形状に依存して物体の透ける面積および形状が変化する。これは,実物へのライト照射の際と同じである。
 物体内部の表示の実現には,ライトの位置・方向の取得,ライト照射領域の検出,照射領域の透明度の変更,の3つの手順をすべてリアルタイムに行う必要がある。しかし,見学者の任意のライトの動きに合わせて透過領域を実時間で変更することは容易ではない。そこで3次元CG技術と映像合成技術を組み合わせた手法を考案した。見学者が懐中電燈などに模した3次元指示装置を任意に動かすと,ユーザの操作に追随して,合成用キー映像の生成と3次元物体上の透過領域の変更が行われ,予め収録されている立体物の映像(前景映像)と内部の映像(背景映像)が合成され,ライトが当たった部分が透けて見える映像を生成する。合成用キー映像は,点光源により立体物の照射された領域だけが明るく表示される映像である。すなわち,CG画像生成装置で生成される映像を合成用キー情報として用いている。これは通常の3次元CGにより容易に生成できる映像であり,光源の位置変化に実時間で対応できる。
 MagicLightにより,実物の国宝陶芸品などをCGで再現・展示する際に,見る方向を自由に変える展示方法だけでなく,透視ライトの照射という対話的操作で希望する領域が透けて見えたり,ロシア人形のように入れ子構造になった壷の観察の演出ができる。また,実物の仏像の中に古文書が隠されていることがあるように壷の内側に描かれた模様や呪文の発見の演出や建物の内部構造の観察などにも利用できる。