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◆入選◆
完全発達乱流場における渦管と自由表面との相互作用
永翁龍一(ながおさ・りゅういち)
  通産省 工業技術院 資源環境技術総合研究所地殻工学部 海底工学研究室 主任研究官
図1  低速流体塊の不安定増幅とそれに伴う渦対と自由表面との相互作用。
図1  
 自由表面における気液相間での熱や物質の乱流輸送機構の解明は,地球温暖化の原因となる炭酸ガス等の大気−海洋間での交換量を評価するにあたって重要な知見となる。そこで本研究では,自由表面での熱や物質の乱流輸送機構を直接数値計算を用いて解明することを試みる。この乱流場は,自由表面と平滑な壁面のみを持ち,自由表面のある乱流場としては最も単純なものである。
 図1に渦管と自由表面との相互作用の瞬間を示す。図中のX3軸に対して下側の境界(青い色で示した平面)が壁面に,上側の境界が自由表面に対応する。また,図中の色付き等高線は流れの方向(X1)に軸を持つ渦管の強さの分布を示し,青はX1軸に対して反時計回り(負)の,赤は時計回り(正)の渦管を示す。さらに,白色の等値面は流速の遅い流体塊の分布を表す。図中の矢印に示すように,低速の流体塊が不安定化して増幅し自由表面にまで到達することがわかる。また低速流体塊の不安定増幅によって,互いに反対方向に回転する対になった渦管(渦対)が自由表面に押しつけられる様子も観察される。このことから,壁面付近で発生した低速流体塊の不安定増幅が渦管と自由表面との相互作用を作り出すことが理解される。さらにこの渦管と自由表面との相互作用の詳細を検討した結果,この渦対は自由表面の流体を乱流内部の流体と入れ換えを行う働きを持つこと,さらにこの流体の入れ替えによって,乱流による熱や物質の輸送が大きく促進されることが解明された。