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◆入選◆
プロテインスペースの電子移動
佐藤洋子(さとう・ようこ)
  九州工業大学大学院 情報工学研究科 情報科学専攻 柏木研究室
上田尚学(うえだ・たかのり)
  九州工業大学大学院 情報工学研究科
佐藤文俊(さとう・ふみとし)
  九州工業大学 情報工学部 助手
柏木浩(かしわぎ・ひろし)
  九州工業大学 情報工学部 教授
図1 
図1
図2 
図2
 タンパク質内の電子移動は光合成など生体系において重要な役割を果たしている。電子はタンパク質の場の影響を受けながらトンネル効果により長距離移動する。1987年にKukiらによって,タンパク質内の電子移動反応を解析する方法として,メトロポリスの重み付きモンテカルロ法を利用した経路積分法が提案された。我々はこの方法を電子を運搬するタンパク質のシトクロムCに適用し,電子移動シミュレーションを行った。この際,タンパク質の表面に,電子を放出するドナーとしてルテニウムイオンを人工的に付加したモデルを採用してアクセプタであるヘム鉄への電子移動を計算し,結果をグラフィックスで表現した。
 図1では,見い出された3本の経路を珊瑚色の数珠つなぎのボールモデルで表現した。タンパク質の主鎖を金色のリボンモデルで,電子吸引力の強い芳香環を持つアミノ残基をスティックで表現している。図の上部にある赤いボールがドナーのルテニウムイオン,下部にある平面型の分子がヘム錯体で,その中央にあるピンクのボールがアクセプタの鉄イオンである。3本の経路はいずれも途中にある芳香環を経由している。
 図2は,上に述べたサイエンスシミュレーションの結果を,できるだけアートな作品に仕上げようと試みた画像である。タンパク質を小宇宙とみなし,宙に浮かんでいる円盤のようなヘム錯体の裏側から鉄イオンに向かって,とんぼに見立てた電子(正確には確率密度)が,吸い込まれるように飛んでいる姿に着目してほしい。