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◆入選◆
作孔機の機械量データによる岩盤内部の3次元可視化手法
板倉賢一(いたくら・けんいち)
  室蘭工業大学 工学部 情報工学科 助教授
    Fig.1 Fig.1
    Fig.2 Fig.2
 土木分野のトンネルや鉱山の坑道を開削する際には,その空洞周辺の岩盤内部の様子を事前に把握することが,安全上重要である。そのために,種々の探査技術が開発され可視化が試みられている。
 一方,近年のトンネル掘削現場では空洞維持のためにロックボルト施工(岩盤を鋼鉄等の棒で縫いつける施工)が主流を占め,このボルト施工のために数メートルの孔が空洞周辺岩盤に多数作孔される。ただし,このボルトが有効な支保効果を生み出すためには,岩盤内部の様子(場所によって岩質,構造が様々に変化する)がわかっている必要がある。
 そこで本研究では,ロックボルト用の作孔機のトルク,推力,回転数,ストロークといった機械量データを計測し,ニューラルネットワーク等を用いた信号処理手法で作孔深さに対する岩質の変化,き裂の分布等を表示できるシステムを開発した。また,複数のこれら作孔機械量データを統合することにより,岩盤内部の様子を3次元で可視化,動画化表示することが可能になった。
 Fig.1 は,ある炭鉱の海底下約 600 m の坑道で天盤に向けて作孔した, 24 孔分の機械量データ(トルク)を用いて再構成した3次元岩盤構造である。岩盤内部の様子を表示するために,スライス断面の動画も作成した。ほぼ均質な岩石による成層構造と考えられていたが,数十 cm の範囲で岩石の性質が変化していることがわかる(一般に,トルク値が高いと強度も高い)。Fig.2 は, 同じ対象領域に関して,岩盤内のき裂の分布だけを抽出し,き裂の密度分布として表示した結果である。 これより岩盤内に発達したき裂も局在化しており, Fig.1 と見比べると, 特定の岩層内で発達している事がわかる。
 このように,3次元地層構造の可視化およびその動画表示等の可視化情報は,作孔機のオペレータに最適なロックボルト打設のための指針を与えるだけでなく,次の坑道掘進現場でのロックボルト支保規格を定めるためにも有効である。また,トンネルや坑道の建設後における長期監視のためのデータベースにもなり得ると考える。