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◆特別賞[ニューフロンティア賞]◆
二次元流線分布図法による心臓腔内血流の定量的可視化
田中元直(たなか・もとなお)
  東北厚生年金病院 病院長
大槻茂雄(おおつき・しげお)
  東京工業大学 精密工学研究所 教授
菅原重生(すがわら・しげお)
  東北厚生年金病院 循環器科医長
図1  
図1
図1
FLOW: 137〜69cm2/s
mean FLOW: 103cm2/s
図2
a 22cm2/s UF
図3
b 11cm2/s UF
図2
図4
a 9cm2/s UF
図5
b 15cm2/s UF
1.はじめに:心臓血管病の際に生ずる心臓血管腔内血流の性状変化や異常血流のような複雑な流れの内部構造を直観的定量的に可視化測定できる方法を実現するために本研究を実施した。

2.二次元流線分布表示の必要性:複雑な構造の流れの内部構造を定量的,客観的に評価するためには流れを任意の部位で切断し,その切断面上に現れる速度成分の分布状況を元にして断面上流線分布を描かせて可視化表示するのが最適である。そこで,2.5MHzのパルス超音波ビ−ムで走査して形成される走査平面上で流速デ−タを検出して流線分布を二次元画像として可視化する方法を開発した。

3.流量関数法による流線分布表示:三次元の流速成分をもつ流れを任意の切断面上で観測すると面上流量はこの面に平行な速度ベクトル成分による流量Qbとこの面と交差する方向の速度ベクトル成分(以下交差成分とする)による流量Qpとを含んだ流れである。従って,流れ関数の理論は適用できず[1],新たに流量関数[2](Q=Qb+Qp)を創出して流線分布を求めた。流量関数の等レベル線を流線として表示すると流線のもつ本来の特徴を変えず,交差成分により増減する面上流量変化を加味した点源で始まり点源で終る流線として示すことができる。

4.ハ−ド環境の概要:東芝社製超音波診断装置(SSH65A)を用い,走査面上で得られた血流速度デ−タを,ライブラリ−社製ひまわり65画像取り込みボ−ドを用いてディジタル信号に変換し,NEC製PC-9821Xe12に実時間で取り込む。この際,OSはWindows95を用い,C++言語で独自に開発したプログラムにより変換処理した。

5.可視化例示:図1.水中に発生させた竜巻状の回転流の横断可視化像.同心円状分布を示す流線と点源をもつ円弧状流線の集合として表示される。図2.拡張型心筋症の拡大心室ではほぼ中央に中心をもつ大きな旋回流が生じている。

6.むすび:本方法で実現した可視化法では,レ−ダの観側デ−タの処理にも適用でき,有効に三次元流れの性質を可視化し評価できると結論できた。
参考文献
[1] 大槻茂雄,田中元直,奥島基良,“二次元ドプラ情報からの流速分布推定法  “『流れの可視化』9, pp269 - 272,1989
[2] 大槻茂雄,田中元直,“三次元流中の平面内の流量関数と流線”『流れの可視化』18, pp136 - 140,1998
審査講評
主として現行の表示装置の限界により,3次元物象の可視化は定性的なレベルにとどまるため,実時間での精確な定量化を必要とする実務志向の可視化では,むしろまだ2次元で追究すべき余地があることを見逃してはならない点を再認識させられた。走査断面上の血流の流線分布をパターン照合することにより,循環器系の疾病を半自動診断する方式の可能性も予見される。