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◆優秀賞[KGT賞]◆
高温岩体発電のための深層地下の可視化
江口譲(えぐち・ゆずる)
  (財)電力中央研究所 水理部 主任研究員
山本武志(やまもと・たけし)
  (財)電力中央研究所 構造部
長澤幹夫(ながさわ・みきお)
  (株)日立製作所 中央研究所
鈴木芳生(すずき・よしお)
  (株)日立製作所 中央研究所
向出孝一(むかいで・こういち)
  (株)日立製作所 大みか工場
大西浩史(おおにし・ひろし)
  (株)電力計算センター 我孫子事業部
山崎健一(やまざき・けんいち)
  (株)電力計算センター 我孫子事業部
図1   破砕音の発生点の可視化
図1
図2   注入井戸(青)と回収井戸(赤)付近での圧力分布
図2
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 高温岩体発電は,地下深部の地熱を人工的に取り出して発電する方式であり,二酸化炭素の排出量が少ない地球環境に優しいエネルギーとして,その実用化が期待されている。この発電方式では,まず地熱が豊富な場所で地下深部まで井戸を掘り,高い水圧で岩盤中の亀裂を開口させる。次に,亀裂開口により貯水可能となった地層(貯留層)に水を通し,地熱で熱せられた水を地上で回収して,その蒸気で発電する。
 電力中央研究所では秋田県・雄勝に実験場を造成し,種々のフィールド実験を行うとともに解析コードの開発を進めている。雄勝実験場では,海江田ら(1)が高圧の水で地下深部の岩盤中の亀裂を開口させ,亀裂開口時に発生する微小な破砕音を地上で測定して,破砕音の発生位置とその大きさを決定した。本作品では,まず,この測定データに基づき,微小な破砕が時間とともにどの様に進展するかを可視化した(図1)。破砕音の発生からの経過時間とともに,音源の輝度が次第に暗くなるように表示しているため,破砕進展の様子と貯留層の構造を直感的に理解することが可能となった。また,この破砕音の位置と大きさから,貯留層内の水の通り易さ(透水係数)を決定した。この透水係数を利用して,深層地下での圧力分布や水の流れの時間的な変化を解析コードで計算し,その結果を動画化した。図2に井戸付近の圧力分布を多重等値面で表現した例を示す。
 本作品で可視化された深層地下での破砕や流れの3次元構造を視覚的に解析することによって,貯留層の立体構造の把握およびその中での熱水流動特性の推定が可能となり,適切な井戸掘削位置の決定などの設計支援に反映できる。
 なお,本作品の可視化画像の作成に当たっては,基本の可視化ライブラリとしてAVS5を用いるとともに,並列計算機 Hitachi SR2201とグラフィックワークステーション SGI Onyx Re2をネットワーク接続した分散処理環境を利用した。
参考文献
(1) H.Kaieda et al., World Geothermal Congress Transaction, Vol.4, pp.2690-2700,1995.
審査講評
広域の実フィールド計測のデータ解析を実施する大型プロジェクトを扱った応募作品の中でも,その総合的な達成度の高さが評価された。測定に伴う誤差を含んだ対象データの可視化に向けて,各種のボリュームビジュアリゼーション技法を効果的に利用している。プレビュー用の簡易レンダリング,並列ボリュームレンダリングなど,効率確保のための工夫が随所に見られる。