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◆優秀賞[JIP賞]◆
VRによる核融合シミュレーションデータの可視化
陰山聡(かげやま・あきら)
  文部省核融合科学研究所理論・シミュレーション研究センター 助手
佐藤哲也(さとう・てつや)
  文部省 核融合科学研究所 企画調整官理論・シミュレーション研究センター 教授
    図1
RealPlayer
 核融合プラズマの研究では,スーパーコンピューターによる計算機シミュレーションが主要な研究手段の一つとなっている。しかし,計算が大規模になるにつれ,出力データの3次元空間構造や時間発展はより複雑になり,グラフィックワークステーションを用いた従来の可視化手法は既に限界に達してきている。そこで我々は,近年急速に発達してきたVR技術に注目し,全く新しいデータ可視化・解析システムCom- pleXcopeを導入した。CompleXcopeは,一辺が約3メートルの立方体の部屋である。部屋の壁面と床面がスクリーンになっており,そこにステレオ画像が投影される。従って中に立つ体験者は,ほとんどどちらを向いても立体的な仮想物体が見えることになる。このため非常に強い現実感があり,目の前の仮想物体に触れるのではないかと思うほどである。体験者の視点はリアルタイムに検知されるのでCompleXcope内部を歩き回ったり,しゃがみ込んだり,まわりを見渡したりしても,常にそこから見えるべき映像が見えることになる。
 下の図は核融合プラズマ実験装置LHDのシミュレーション結果をCompleXcopeで(仮想LHDに入り込んで)解析している時の視野の一部である。(実際の映像は立体的である。)磁場の3次元構造を解析するために磁力線を描かせている。片手に持った棒状のコントローラ(ワンド)のボタンを押せば,そこから出発した磁力線が瞬時に表示される。またワンドの別のボタンを押せば,その位置からワンドの指す方向に打ち出された仮想的プラズマ粒子の運動が表示される。捕捉粒子と呼ばれる種類のプラズマ粒子(白い球)が目の前を複雑な軌道を描きながら横切っていく様子は印象的な風景である。このCompleXcopeシステムにおいて我々は,シミュレーションデータを可視化・解析するうえでVR技術が高い有効性を持っていることを確認した。今後,他の多くの研究分野においてもVR技術を応用した可視化システムの利用が広がっていくと予想される。
審査講評
バーチャルリアリティ技術誕生の経緯を探れば,可視化応用の存在に行きつく。しかしこの作品を見ると,この10年間の要素技術の発展を受け,当初の目標であった仮想的な探究空間がようやく本格的に実現された感がある。核融合プラズマのような複雑な現象を,空間ウォークスルーを用いて3次元的に体験できることは,研究・教育の両面で大きなインパクトを与えるだろう。