特別賞「ニューフロンティア賞」
「オーグメンテッドリアリティによる投影三次元画像手術」
| 伊関 洋(いせき・ひろし) |
東京女子医科大学 脳神経外科 |
| 岩原 誠(いわはら・まこと) |
日本ビクター(株) 3Dプロジェクト |


本研究は,低侵襲手術治療のためにのオーグメンテッドリァリティによる投影三次元画像術中ナビゲーション技術を開発したものである。
コンピュータ上に複数の医療従事者が共有できる仮想空間を作れば,この仮想空間にCT等の三次元画像を取り込むことができ,具体的に画像を指し示しながら専門家同士でコミュニケーションできる。さらに仮想空間において三次元的なシミュレーションや手術計画を行い,術前・術中により適切な判断を下すことが可能になる。手術のための仮想空間は術者の頭の中にあったイメージ空間を外に取り出したかのように働くものでなくてはならず,その仮想空間は術者の持っているイメージ空間よりも精密で,かつ他者と共有できる一種の拡張された空間(extended
image-space)でなければならない。しかし手術中に,今操作している位置が本当に計画した通りの箇所であるかどうかは,結局術者の持つ三次元的イメージを頼りに判断するしかない。
すなわち,仮想空間と実空間(real-world:医療が行われる現場)との間で位置の対応を付けるレジストレーション抜きでは,いくら精密な手術計画を立ててもそれを手術中に有効に利用できない。仮想空間と実空間とのレジストレーションを行う手段のひとつとしてvolumegraphがある。裸眼で観察できる空中に浮かぶ三次元像(volumegraph)を,ハーフミラーを介して患者さんの頭部に重ね合わせることにより,あたかも頭の中が透けて見えるように立体の三次元画像つきの地図として観察できる。これにより手術操作を加える場所が簡単に理解できる。
◆審査講評◆
最も進んだ仮想現実感の形態であるオーグメンテッドリアリティを用いたリアルタイムな可視化を追求している点が,まさにこの賞にふさわしい。2次元的な像の融合にとどまっているとは言え,現実の手術に適用可能なメディカルビジュアリゼーション研究開発の最前線を実感でき,国際的に見ても第一級の価値を誇れる作品である。
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