優秀賞「KGT賞」
『三次元翼の数値シミュレーションの可視化』
●磯部俊夫(いそべ・としお)
科学技術庁航空宇宙技術研究所数理解析部視覚化技術研究室長
●末松和代(すえまつ・かずよ)
科学技術庁航空宇宙技術研究所 数理解析部視覚化技術研究室主任研究官
●藤野敦志(ふじの・あつし)
科学技術庁航空宇宙技術研究所 数理解析部視覚化技術研究室臨時職員
●宮川里子(みやがわ・さとこ)
大塚電算研究所
渦度と表面圧力分布
翼の周りの渦度の等高線と表面圧力分布を同時に表示している。
翼の上と下からでる渦を色分けして,渦の回転方向の違いを表現
している。
翼の周りの圧力分布と表面圧力分布
翼の周りの圧力分布を3断面同時に表示し,表面圧力との関係を
検証できる構成にしている。これにより,翼の付け根と先端位置
との差がはっきり確認することができる。
航空宇宙技術研究所では1993年に大型ベクトル並列計算機である「数値風洞」を導入した。数値風洞の総合能力は,メモリー量が45GB,ピーク性能が280GFLOPSであり,世界1の計算処理能力を誇っている。その結果,大規模な数値シミュレーションや時間的に変化する非定常現象の数値シミュレーションが実行できるようになり,結果を理解するための効果的な可視化手法の研究が重要な課題となっている。
定常現象の場合は情報が時間的に変化しないので,3次元データを扱うだけでよく,どのデータをどういう手法を用いて空間的に表示するかを考えればよい。一方,非定常現象では時間的に変化する3次元データを扱う必要があるため,連続的に可視化しなければ現象を正確に把握し,理解することができない。現在のところ,非定常結果の可視化はビデオによるアニメーションがもっとも有効な方法として使用されている。そのため,数値風洞による計算,メモリー量が8GBのCRAYによる可視化処理,GWS等でのでのビデオ記録という一連の作業を行っている。
航技研の従来の可視化システムでは,ネットワーク・ビデオ・システム(NVS)によるコマ撮りを行っていたため,磁気ディスク上にある動画データをビデオに録画するビデオコマ撮り作業に大幅な時間がかかっていた。このため,1本のアニメーションを完成させるにはかなりの日時を必要としていた。航技研では動画作成の時間短縮を図るため,今春導入したシリコン・グラフィックス社製のONYXに高速ディスクI/O機能を付加し,1秒当たり30枚という実時間でのビデオ録画を可能となるようにした。
研究発表用図版やパンフレット,アニメーション用画像には単なる結果の表示だけではなく,背景文字や説明用文には単なる結果の表示だけではなく,背景文字や説明用文字をいれたり,分かり易くするための各種合成処理を行うことが多い。また,アニメーション用には大量の画像データを作成する必要がある。このため一連の画像データの作成および合成処理を効率よく行うための航技研独自のソフトウェアを開発し,比較的簡単にアニメーションが作成できるようになっている。
今回アニメーション化した三次元翼の非定常計算は,旅客機の代表的な翼を強制的に正弦振動させた場合の空気の流れを計算したものである。この計算は,翼が異常な振動を起こさない事を確かめるための重要な研究である。振動の1周期を1500ステップに分割して計算しているが,アニメーション表示には5ステップおきのデータを用いて301ステップで1周期としている。表示されているデータは渦度と表面圧力で,301ステップ分のデータを一組として繰り返し表示する表現方法を採用している。アニメーション結果を見ると,翼の迎え角の変化による空気の乱れの変化がよく理解できる。
データ提供:
航空宇宙技術研究所構造力学部空力弾性研究室長 中道二郎
東海大学 H.R.Kheirandish
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