優秀賞「日経サイエンス賞」(学生作品対象)
『サイバーテキスト三次元図解生理学版』
慶應義塾大学環境情報学部 千代倉弘明研究室
●松田達樹(まつだ・たつき) ●梅原智之(うめはら・ともゆき)
●早野勝之(はやの・まさゆき) ●原 孝成(はら・たかのり)
●渡辺大地(わたなべ・たいち) ●北川健二(きたがわ・けんじ)
●今野立也(こんの・たつや) ●三谷ひかる(みたに・ひかる)
●山野上 寛(やまのうえ・かん)●山川総司(やまかわ・そうじ)
●北澤 純(きたざわ・じゅん) ●八木冬美(やぎ・ふゆみ)
●助教授 千代倉弘明(ちよくら・ひろあき)
近年,コンピュータの処理速度の向上によって,三次元画像のリアルタイムな表現
が可能となり,デザインやエンターテイメントを含めた広い分野への応用が可能とな
ってきている。その中でも特に大きな効果が期待されるのが教育分野である。従来の
主な教材である書籍や映像においては,対象物が三次元であるにも関わらずその図版
が二次元で表現されているものが大半を占めていた。特に生理学では,複雑な臓器形
状や組織構成といった解剖学的な理解や学習をするためには,三次元的観点による状
態把握を行った方が効果的であることが多い。また,時間・条件に基づいて起こる変
形や反応といった,生物が生活するための基本的機能についても,深い理解が必要と
されている。これらの事柄が二次元の絵と文章のみで表されていては,理解や把握に
困難を要する場合が出てきても不思議ではない。
そこで,これらの問題を解決するために,我々慶応義塾大学環境情報学部千代倉研
究室では,図版に三次元CGを多用し,ウォークスルーやシミュレーション,アニメ
ーションなどリアルタイムな機能を付随した新しい教育システムの開発を行った。
この教育システムは生理学をその対象としており,学習レベルは中学・高校の生物・
保健の授業に設定している。内容は全部で9章あり,遺伝子・細胞・筋肉・脳・心臓・
肺・腎臓・眼・耳にわかれている。この教科書は基本的にMosaic上に構築され,マウス
クリックにより様々な章に移ることが出来るようになっている。各章には従来の教科
書と同じく文章と図版が用意されている。しかし,ここでさらに図版の部分をクリッ
クすることにより,新たにウインドウが開き,各組織の構造や機能を表した三次元図
解が立ち上がるのである。この三次元CGによる三次元図解は,全9章の中で34個存
在する。今回応募した作品はこの34個の三次元図解の部分である。
三次元図解には,モデルの中を自由に歩きまわり,あらゆる角度からその物体を観
察することの出来るウォークスルーや,物体の変化の様子を知るアニメーション,ま
たユーザによるパラメータの設定により,各組織・器官の反応や変化の様子を知るシ
ミュレーションが存在する。これら全ての三次元図解は,マウスクリックのみで操作
するこが出来る。例えば,眼の構造を観察する三次元図解では,『Name』というボタ
ンをクリックすることにより眼の三次元モデルと一緒に各部の名称を表す名称プレー
トが現れる。この名称プレートは,ユーザが視点を変えるとモデルと共に動くので,
任意の視点からの観察でもその部分の名称を知ることが出来るようになっている。こ
の機能により,複雑な構造の把握やその部分の名称を分かりやすく学習することが出
来るのである。
尚,これらの三次元図解では,株式会社リコーのソリッドモデラであるDESIGNBASE
によって作られた立体を使用している。また,ビジュアライズのライブラリには日本シ
リコングラフィックス株式会社のIRIS-JGLを活用している。
また,この作品は情報処理振興事業協会の協力のもと,千代倉研究室によって作成
された。
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