遺伝子組み換え作物
1. イントロダクション
2. 新しい種子の交配
3. 従来の品種改良の限界
4. 植物の病気を上手に利用
5. 望ましい遺伝子の探索
6. クラウンゴール菌とBt遺伝子の出合い
7. 遺伝的な障害
8. ウイルス抵抗性
9. 除草剤耐性
10. 遺伝子組み換え植物がもたらした問題
11. さまざまな可能性を求めて
12. クレジット
ウイルス抵抗性
 1996年に商品化されたBtワタは市場に最も早く登場した遺伝子組み換え種子の1つだ。それ以後,10種類ほどの作物が病害虫に抵抗を持つように遺伝子を組み換えられてきたが,それらには数十年前の基礎研究で見つかった遺伝子が利用されている。例えば,植物が弱いウイルスに感染すると,より強い作用を持つ同種のウイルスの影響を受けなくなる。1930年代に育種家たちがこの事実に気づいたのだが,それなしには遺伝子組み換えによってウイルス抵抗性を持たせたカボチャやカンタロープ(メロンの一種)は登場しなかっただろう。セントルイスのワシントン大学に所属していた植物病理学者のビーチ(Roger Beachy)はこの発見を知って,こうした「干渉効果」がどのようにして起きるのか疑問に思った。ウイルスの一部がそれを助けているのだろうか?

 ビーチはモンサント社の研究者と協力して,タバコモザイクウイルスの被膜タンパク質の一種を作る遺伝子をA. チュメファシエンスをベクターに使ってトマトに組み込んだ。この植物にウイルスを接種したところ,予想通りほとんどがウイルスに抵抗性を示した。この結果は1986年に報告された。

 8年後の1994年,ビーチの方法で作ったウイルス抵抗性カボチャの種子が商品化され,同様にウイルス抵抗性を持たせたカンタロープやジャガイモ,パパイヤの遺伝子組み換え種子がこれに続いた(ウイルス抵抗性のトマトは従来の方法ですでに作られていた)。

 1992年以降,ある種の植物に細菌や真菌の感染に対する抵抗性をもたらす遺伝子がいくつか特定され,複製された。これらの一部は,そうした遺伝子を持たない作物へ導入され,成功を収めた。耐病性を高める遺伝子が天然の植物から数多く見つかっているので,近い将来,さらに多くの耐病性作物が登場すると期待されている。利用できるのは植物の遺伝子以外にもたくさんある。作物を外的から守ってくれる遺伝子を求めて,Bt以外の微生物も調べられている。
   
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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