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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
■ポリマーと人々
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1. イントロダクション
2. 自然を理解する
3. ポリマー産業の勃興
4. ポリマーを解明した科学
5. ポリマーの黄金期
6. 石油から作るポリマー
. 自然への取り組み
8. 設計されたポリマー
9. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■自然を理解する
 人間には自然界の物質と構造を理解しようとしてきた長い歴史がある。単純な観察によることもあれば,実験によって物質を操作することもあった。古代ギリシャでは,アリストテレスは全ての物質が空気・土・火・水のわずか4元素の組み合わせからできていると考えた。中世の錬金術師たちは,ありふれた金属を金に変えようと虚しい努力をした。18世紀後半になると,化学者たちが物質の基礎成分を見つけようと,化学物質の合成や分解を始めた。19世紀初め,英国の化学者ダルトン(John Dalton)は,複数の化学物質が反応して結びつく時には常に特定の比をとることを発見し,物質は目に見えない「原子」からできていると結論づけた(原子の概念を最初に提唱したのはギリシャの哲学者デモクリトスで,紀元前約400年のことだった)。19世紀の化学者たちは,かつて生物の体内でしかできないと考えられていた有機化合物を,無機化学物質から合成できることも明らかにした。

 化学者が自然の本質を追求している間にも,発明家たちは高温・高圧下で天然の物質を化学薬品で処理し,新素材を作り出していた。1839年,米国の発明家グッドイヤー(Charles Goodyear)はゴムの木の樹液を熱と硫黄で処理して性質を変える「加硫」と呼ばれる技術を発見した。この処置によって,主に「消しゴム」にしか使われてこなかったねばねばして湿った素材が,乾質で頑丈な弾性を持つ素材に変わり,自動車タイヤの製造を可能にし,ひいては輸送革命をもたらした。

image 理論面を追求していた研究者たちも,後にポリマー産業の基礎となる独自の発見を次々と成し遂げた。1858年,ドイツ人化学者のケクレ(Friedrich Kekule)は有機分子の構造を理解するための理論的枠組を打ち立てた。炭素原子は他の4つまでの原子と化学結合できること,そして多数の炭素原子がつながると長い鎖状の分子になることを示したのだ。スコットランドの化学者クーパー(Archibald S. Couper)もほぼ同時期にこのことを発見した。次に1874年,オランダのファントホッフ(Jacobus van't Hoff)とフランスのベル(Joseph Le Bel)はそれぞれ,炭素原子の4つの結合は4面体の各頂点を指す方向に向かっていると提唱した。天然のポリマーも人工ポリマーも炭素原子が骨格となっているので,この2つの発見はポリマー分子がどのような3次元構造をしているかを理解する基礎となった。
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