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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
海洋の秘密を音で探る
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1. イントロダクション
2. 音と振動
3. 音によるナビゲーション
4. 無音の影領域
5. 海洋での音の伝播
6. 音の伝達経路
7. 海洋に耳を傾ける
8. 海洋の内部を音で探る
9. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■音の伝達経路
 1943年,コロンビア大学のユーイング(Maurice Ewing)とワーズル(J. L. Worzel)は1つの実験を行い,ユーイングが数年前に提唱した理論を検証した。高周波に比べて散乱・吸収されにくい低周波の場合,音源を適切に配置すれば非常に長い距離を伝わるはずだとユーイングは理論づけていた。2人がバハマ諸島近海の水中で1ポンド(約454g)のTNT火薬を爆発させたところ,その音は3200km離れたアフリカ西海岸に設置した受信機でも簡単に検出できた。この実験結果を分析するなかで,彼らは音の伝達経路を発見し,「SOFARチャネル」と呼んだ(SOFARはsound fixing and rangingの略)。これは「深部音響チャネル」としても知られ,ロシアのレベデフ物理学研究所の音響学者ブレコフスキ(Leonid Brekhovskikh)が日本海での爆発音の受信解析をもとに,ユーイングらとは別に発見していた。
 
image ユーイングらは,変温層の底と深部等温層が接するあたりでは音速が最小になっており,屈折の法則によって音が狭い領域に効果的に閉じ込められることに気づいた。図に示すように,変温層を斜めに進む音は音速の低下に伴って下に曲がり,深部に達して水圧の影響で音速が上がってくると上に曲げられる。そして,上方の暖かい層に達するとやはり音速が上昇するので再び下に曲げられ,結局は音速が最小となる深さのあたりに伝達経路ができるのだ。このような伝達経路に導入された音は信号の損失が最少に抑えられ,水平方向に何千kmも伝わるだろう。深部音響チャネルがどの深さにできるかは海洋の温度によって異なる。例えば極地域では表面温度が低いため変温層の位置が水面近くに上がってくるので,深部音響チャネルも浅いところにできる。
 
 米海軍は,低周波音と深部音響チャネルが潜水艦の検出範囲拡大に役立つことにすぐに気づいた。1950年代,海軍は極秘裏に「イゼベル」というコードネームのプロジェクトを開始した。これは後に音響監視システム「ソーサス」(SOSUS; Sound Surveillance System,水中音響哨戒網)として知られるようになる。ハイドロホンと呼ぶ水中マイクを海底にたくさん設置し,ケーブルによって陸上の処理センターと結ぶ。米海軍は北米の東西両海岸と英領西インド諸島に沿うさまざまな水深にソーサスを展開し,北半球の大部分における潜水艦の検出を可能にしたばかりか,その潜水艦がスクリューをいくつ備えているか,通常型か原子力潜水艦か,時には型式までも判別できるようになった。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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