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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
海洋の秘密を音で探る
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1. イントロダクション
2. 音と振動
3. 音によるナビゲーション
4. 無音の影領域
5. 海洋での音の伝播
6. 音の伝達経路
7. 海洋に耳を傾ける
8. 海洋の内部を音で探る
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■海洋での音の伝播
 戦争が終わると,これら深海自記温度計による観測で蓄積したデータは,スピルハウスが当初思い描いていたように,海洋に関する基礎研究の土台となった。1946年に米海軍は海軍研究局を設置,これが後に音響海洋学に対する最大の資金提供機関になった。科学者たちは水中での音響信号の伝播に影響を及ぼす条件について研究を再開した。
 
 水中で音がどれだけ遠くまで伝わり,いつまで持続するかは,さまざまな要因に左右される。まず,海水中の微粒子によって特定の周波数の音が反射・散乱・吸収される可能性がある。これは特定波長の光が大気中にある特定タイプの微粒子によって反射・散乱・吸収されるのと同様だ。海水は蒸留水に比べて音を吸収する量が30倍も多い。特定の化学物質(硫酸マグネシウムやホウ酸など)が含まれており,これがある周波数の音を弱めるためだ。また,微粒子を素通りしていくような長い波長を持つ低周波の場合,吸収や散乱による損失が生じないため,遠くまで伝わる傾向があることがわかった。
 
 さらに塩分濃度や温度,圧力が水中の音速に及ぼす影響が研究され,海洋の構造について魅力的な事実が明らかになった。一般的にいうと,海洋は水平方向に広がるいくつかの層に分かれ,上部の層では音速は主に温度の影響を受け,下部の層では圧力が音速を左右する。海面近くの最上層は太陽光によって暖められ,その温度や層の厚さは季節によって変わる。その下に位置する中間部は温度が均一な「等温層」だ。波や風,対流によって海水が混合されるため温度が均一になっており,この層では音響信号がほぼ一定の速度で伝わる。さらに下に位置するのが「変温層」と呼ぶ過渡的な層だ。ここでは深くなるにつれて水温が着実に下がり,水温とともに音速も低下する。しかし海面から600mないし1km下に達すると,温度はほとんど変化しなくなる(これよりも下,海底までの水は実質的に等温とみなせる)。この領域で音速に影響する主な要因は圧力の増加であり,深くなるほど音速は速くなる。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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