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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
海洋の秘密を音で探る
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1. イントロダクション
2. 音と振動
3. 音によるナビゲーション
4. 無音の影領域
5. 海洋での音の伝播
6. 音の伝達経路
7. 海洋に耳を傾ける
8. 海洋の内部を音で探る
9. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■音によるナビゲーション
 漁師や船乗りは昔から,水中を音がどう伝わるかを利用し,初歩的な反響位置決定の手法を使ってきた。例えば古代フェニキアでは,漁師たちは鐘を鳴らすなど大きな音をたて,その反響音を聞き取ることによって,霧に隠れた岬までの距離を推測した。1902年には,米国沿岸を航行する船は,定置式の灯台船が海面下で鳴らす鐘の音をたよりに,隠れた浅瀬を避けていた。その10年後にタイタニック号の悲劇が起き,これをきっかけにボストンのサブマリン・シグナル社(現在はレイセオン社の一部門)などが氷山をはじめとする航行上の障害物を検知する装置の開発に乗り出した。悲劇から1週間もたたないうちに,リチャードソン(L. R. Richardson)が空中を伝わる音を利用した反響測距法の特許を英国特許庁に出願,その1カ月後には水中音についても同様の出願をしている。しかし,初の実用的な反響測距装置の特許は1914年に米国で成立したもので,サブマリン・シグナル社に勤務していたフェセンデン(Reginald A. Fessenden)の発明だ。フェセンデンの装置は低周波ノイズを発する電気式の振動子で,スイッチを切り替えると反響音を聞き取る受信機にもなる仕組みだった。2マイル(約3.2km)離れた水面下の氷山を検出できたが,方向までは正確にはわからなかった。
 
 より精巧な音響測深器が第一次世界大戦中に連合国によって開発されたが,ドイツのユーボートの脅威に対しては無力だった。動く物体の位置を突き止めて追跡することができなかったからだ。しかし第一次世界大戦後間もなく,ドイツの港に残っていた機雷の除去に音響探知を利用しようと研究していたドイツ人科学者のリヒテ(H. Lichte)が,海水中での音波の屈折に関する理論を打ち出し,問題解決の手掛りを提供した。リヒテはレイリーやオランダの天文学者スネル(Willebrord Snell)の研究結果に基づいて,光がある媒質から別の媒質へと進む際に屈折するのと同様に,音波も温度や塩分濃度,圧力などのわずかな変化に遭遇すると屈折することを1919年に理論化した。また,海流や季節変化が音響伝播に影響を及ぼすだろうとも考えていた。しかし不幸なことに,このリヒテの考え方はあまりにも時代に先んじていたので,その後60年近くにわたって認められないままに埋もれてしまった。
 
 米国では第一次世界大戦後もメリーランド州アナポリスにある海軍工学実験所のヘイズ(Harvey C. Hayes)が主導して,より精巧な反響位置決定装置を開発する努力が続けられた。ヘイズは海軍が平時において海洋学の研究を支援するよう奨励し,海軍と非軍事研究者の共同研究はいまも続いている。こうして,第二次世界大戦が勃発する前までに,米国の軍艦は音響測深器や「ソナー」と呼ぶ改良型の反響測距装置を標準装備するようになっていた。ソナーは「SOund NAvigation and Ranging」の略で,潜水艦のスクリュー音や,潜水艦の船体ではね返ってくる反響音を数千m離れたところでキャッチできる。ところが,これらの装置は不思議なことになぜか信頼性が低かった。1937年夏,米艦セムズの乗員たちは,キューバのグアンタナモ湾沖での海上演習の際に艦載ソナーに奇妙な問題が生じ,途方にくれた。どういうわけか,午後になるとソナーの性能が決まって悪化するのだ。時には反響音がまったく聞こえなくなることもあった。セムズの艦長はマサチューセッツ州ウッズホールにあるウッズホール海洋研究所(WHOI)に助けを求めた。同研究所の副所長アイスリン(Columbus Iselin)が調査船アトランティス号とともに米艦セムズに赴き,この奇妙な“昼過ぎ効果”の謎解きを始めた。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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