全地球測位システム(GPS)
1. イントロダクション
2. パイロットはどこだ
3. 正確な時間と場所
4. それは基礎研究から始まった
5. 時間の本質を調べる機器
6. ラビの時計
. 実用的な使い道
8. GPSとその将来像
9. クレジット
GPSとその将来像
 忘れられがちなことだが,GPSはそもそも国防総省が軍事利用を目的に120億ドルをかけて整備した現役の軍事システムでもある。めざましい成功をおさめたGPSシステムだが,このために評価が分かれている面もある。どんな新技術でもそうだが,進歩にはリスクがつきもので,GPSが密輸業者やテロリスト,敵軍に利用される心配がないとは言えない。国防総省がGPSシステムの商業利用をようやく認めたのは,巨大な潜在市場を見出したGPS機器メーカーの圧力を受けたからだ。ただし妥協策として,国防総省はいわゆる選択的利用政策を導入し,GPS衛星が送信する最も正確な信号については,軍と認可ユーザーだけが利用するという厳格な制限を設けた。GPS衛星は現在,2種類の信号を発信している。1つは精度30mの民生用信号で,もう1つは軍だけが解読できる精度18mの信号だ。また,国防総省はいつでも民生用信号にエラーを入れ,精度を約90mに落とすことができる。

 1996年3月,ホワイトハウスは10年以内にGPSの高精度信号を誰でも利用できるようにするとともに,民生用GPS信号の精度劣化を段階的に解消すると発表した。また,GPSサービスを平和的な民間利用や商業利用,科学利用に世界的に無償提供するという連邦政府方針を再確認した。

 GPSの将来は無限に広がっているように思われる。夢のような技術が数多くある。GPSシステムを使えば,地球上のあらゆる場所に1平方メートルごとに全く新しい唯一無二の番地をつけて瞬時に利用できる。これは場所と距離の新しい国際基準になる。少なくともコンピューターは,私たちの場所を州・市・所番地ではなくて,経度と緯度で定義することになるだろう。こうした“GPS住所”と電話番号を記録したコンピューター版のイエローページができ,どんな市や町,郊外でも地元のレストランや最寄りのガソリンスタンドを瞬時に探せるようになる。宇宙の本質を探りたいという好奇心に駆られた科学者たちが実験室で生み出し,政府が支援した基礎研究に基いて開発されたGPSは,無限の可能性を秘めている。
   
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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