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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
レーザーと眼科手術
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1. イントロダクション
2. はっきり見えます
3. 網膜――視覚の中枢
4. 一方,物理学の世界では…
5. 光のパワー
6. 分子に光を発生させる
7. まさにうってつけだったレーザー
8. アルゴンレーザーの登場
9. 目的に合ったレーザーを求めて
10. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■光のパワー
 話は第二次世界大戦後に飛ぶ。初の原子爆弾の爆発を受けて,多くの研究者が網膜火傷の調査を始めた。50マイル(約80km)も離れた地点から爆発の閃光を見た人々が網膜火傷を負い,後に失明したからだ。一方,これとよく似た日食失明という現象は,少なくともプラトン(Plato)の時代から知られていた。1946年の春,ドイツの眼科医マイアー=シュビッカラート(Gerd Meyer-Schwickerath)は1945年7月10日の日食を見て網膜に損傷を被った多くの患者を診察したことから,この問題に関心を持った。彼は,強い太陽光線への曝露によって生じた網膜の傷が「表面ジアテルミー(透熱療法)の結果としてできる瘢痕と似ている」ことに注目した。網膜裂孔や糖尿病性網膜症の治療を目指して眼科医たちが眼に熱を加えて誘発しようとしていた瘢痕に,それはよく似ていたのだ。
 
 その後数年間,マイアー=シュビッカラートは光によって網膜組織を固める「光凝固術」を臨床的に完成すべく,さまざまな実験を行った。これは簡単な仕事ではなかった。網膜裂孔をふさげば網膜剥離は防止できるだろう。しかしその半面,網膜のうち凝固させられた部分はだめになってしまう。ポイントは,凝固する部分をできるだけ小さな点にとどめ,視覚を可能な限り温存することだった。
 
 マイアー=シュビッカラートの研究によって,ある波長の光(波長が400〜900nmの光)は角膜やレンズにあるタンパク質に吸収・散乱されてエネルギーを失うことなく網膜に達することがわかった。彼はまた,隣接する色素沈着細胞の層が光エネルギーを吸収して熱を発生する結果,網膜の温度が上がり,通常は透明な網膜が白くなることも突き止めた。白くなった領域は光を吸収するのではなくむしろ反射するようになるから,凝固に歯止めがかかるだろう。
 
 彼は網膜裂孔の正確な位置に凝固火傷を生み出す装置が必要だと考えた。正確なだけではなく,眼の他の部分に対する熱損傷を最小限にするためには,素早い処置が可能な装置が必要だった。1950年代半ば,マサチューセッツ州サウスブリッジのアメリカン・オプティカル社は映画の映写用に高圧キセノンアークランプを開発した。このガスランプは非常に明るく,直視すると図らずも網膜が凝固する危険にさらされるほどだった。
 
 これはマイアー=シュビッカラートが求めていた人工光源にぴったりだった。すぐにドイツのオーバーローヘンにあるツァイス社の研究所がこのキセノンランプを組み込み,マイアー=シュビッカラートが「最も偉大で完璧な技術的産物」と賞賛した光凝固術装置を開発した。医師が扱いやすい装置で,1959年にツァイス社は3台の装置を米国に出荷した。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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