サイエンス1983年:掲載論文一覧

※「日経サイエンス」の1990年9月以前の誌名は「サイエンス」です。

※各項目は,掲載ページ,論文名,著者名,内容の要約の順に並んでいます。

 

サイエンス1983年1月号

P12(別冊75)「核兵器の全面凍結」

R.フォースバーグ

米ソ両国が核兵器とその運搬システムの生産を停止することが,核兵器の廃棄につながる。

 

P24「南氷洋の生態系とクジラ資源」

J.R.ベディントン/R.M.メイ

南氷洋の生態系を調べると,クジラを絶滅から守るための最適捕獲量がはっきりしてくる。

 

P34(別冊71,95)「細菌ウイルスの遺伝子スイッチ」

M.プタシン/A.D.ジョンソン/C.O.パボ

ラムダ・ウイルスの遺伝子発現を調節する,タンパク質とDNAの相互作用が解明された。

 

P54(別冊60)「広がる北アメリカ西海岸」

D.L.ジョーンズ/A.コックス/P.コーニー

過去2憶年ほどの間に地塊がつぎつぎに衝突したため,北アメリカ大陸は西方へ成長した。

 

P82「現代日本人の成立」

埴原和郎

日本人は縄文人の子孫であり,地域的混血や隔離を経験しながら小進化し現代人となった。

 

P96「グルーボール」

石川健三

グルーボールは,クォークを結びつけているカラー力を伝達するグルーオンが結合した状態である。

 

P109「ガーターヘビの性行動と生理」

D.クルーズ/W.R.ガーストカ

アカスジガーターヘビの奇妙な性行動と生理は,カナダ西部の寒冷な環境への適応を示す。

 

P119「ティンパニーの物理学」

T.D.ロッシング

ティンパニーは周波数が倍数関係にある振動モードにより,音名でいえる高さの音がでる。

 

 

サイエンス1983年2月号

P8「新しい人口移動現象」

D.R.バイニング

先進諸国では,1970年代に工業と人口の集中していた核心地域からの人口流出が始まった。

 

P20(別冊63)「宇宙からみた地球のレーダー画像」

C.エラチ

スペースシャトルに搭載されたレーダーシステムによって,地表の鮮明な画像が得られる。

 

P30(別冊63,79)「静電誘導トランジスタ」

西澤潤一

筆者が発明したこのトランジスタは,次世代のLSI素子として世界の注目を集めている。

 

P52「パーソナル・コンピューターとその周辺」

H.D.トゥーン/A.グプタ

ハードウエア・ソフトウエア双方の充実で,パソコンは新しい局面を迎えようとしている。

 

P68「脳の縞構造はどのようにしてできるか」

M.コンスタンチン/M.I.ロウ

三つ目ガエルをつくる研究から,縞構造の形成に2つの機構が働いていることが判明した。

 

P80「宇宙線のメッセージ」

E.ストーン/R.メバルト/M.ウィデンベック

宇宙線の同位体組成を調べた結果,太陽系の同位体組成とはかなり異なることがわかった。

 

P92「海の固着生物と水流」

M.A.R.ケール

海で固着生活を送るイソギンチャクや海藻類は,水流に対してみごとな適応を見せている。

 

P102(別冊65)「素数を求めて

C.ポメランス

大型コンピューターを使うと,100桁の数でもわずか10秒で素数かどうかの判定ができる。

 

 

サイエンス1983年3月号

P9(別冊63)「歩く機械」

M.H.レイバート/I.E.サザーランド

コンピューター技術と動物の歩行パターンの研究が結合,歩行機械の実現が間近になった。

 

P20「哺乳動物細胞の大量培養法」

J.フェダー/W.R.トルバート

インターフェロンなど重要な物質を大量に生産するための新しい細胞培養技術が完成した。

 

P30「NMRでとらえた生体の代謝機能」

R.G.シュルマン

生きた生物の中でどのような化学反応が起こっているかを探る,画期的な手段が現れた。

 

P44(別冊98)

新星・Ⅰ型超新星誕生のプロセス

杉本大一郎

白色矮星に隣の星からガスが流入するというモデルで,新星とⅠ型超新星が説明できる。

 

P58「足跡化石が語る恐竜の生態」

D.J.モスマン/W.A.S.サージャント

足跡の化石を調べるだけでも,絶滅してしまった動物の生活ぶりや行動のようすがわかる。

 

P73(別冊69,72)「宇宙X線バックグラウンドの起源」

B.ゴーマン

X線天文衛星の観測によると,X線バックグラウンドの起源は,遠くにあるクエーサーらしい。

 

P88「内耳の有毛細胞」

A.J.ハッドスペス

繊毛束をもつこの受容細胞は,振動を電気信号に変える生きたトランスデューサーである。

 

P106「パイプオルガンの物理学」

N.H.フレッチャー/S.トウェイテス

パイプオルガンの荘厳な響きの秘密が,最新技術を駆使した実験から明らかになってきた。

 

 

サイエンス1983年4月号

P10「活動する太陽コロナ」

R.ウォルフソン

太陽コロナの活動から,そこで起こっている物質と磁場の複雑な相互作用の様子がわかる。

 

P22(別冊77)「合成ワクチン」

R.A.ラーナー

ウイルスの表面タンパク質の一部を合成し,安全なワクチンを製造できる見通しがついた。

 

P32「矢毒ガエル」

C.W.マイヤーズ/J.W.デイリー

猛毒のアルカロイドをもつこのカエルは,体色や体長の違いが顕著で進化の面で興味深い。

 

P48「光コンピューター」

E.アブラハム/C.T.シートン/S.D.スミス

このコンピューターは毎秒1兆回,従来のものの1000倍もの高速で演算することができる。

 

P58「クォークの閉じ込めと格子理論」

C.レビ

格子理論という数学的な手法で,クォークの閉じ込めが理論的に証明されようとしている。

 

P74「陸上植物の初期進化」

西田誠

最近の細胞学的研究や化石の発見から,緑藻からコケ植物への進化が詳しくわかってきた。

 

P86「英国中世の扇形ボールト天井」

W.C.リーディー

扇形ボールト天井は美しさの追求から生まれたものだが,技術的にも合理的なものだった。

 

P102(別冊80)「隠れた視覚システム」

J.M.ウォルフ

視覚は,ふつう単一の感覚のように思われているが実は複数の働きの組み合わせである。

 

 

サイエンス1983年5月号

P9「マイクロプログラミング」

D.A.パターソン

このプログラムによりコンピューターを制御する方法は,ソフトウエアの互換性を高める。

 

P20(別冊71)「ミトコンドリアのDNA」

L.A.グリベル

細胞のエネルギー発生源であるこの小器官は,細胞の核とは異なった遺伝系をもっている。

 

P34(別冊89)「宇宙の未来」

D.A.ダイカス/J.R.リトー/V.L.テブリッツ

最新の理論物理学と宇宙論により,遠く10の100乗年後の宇宙の姿まで描き出せるようになった。

 

P58「周期変動する化学反応」

I.R.エプスタイン/K.クスティン/M.オーバン

物質の濃度が周期的に変化する現象の解明は,生物時計など生命の謎を解くカギにつながる。

 

P72(別冊69)「“ひのとり”がみた太陽フレア」

田中捷雄

太陽観測衛星“ひのとり”は,太陽フレアをはじめ太陽活動の諸側面を明らかにしている。

 

P86「古代インダス文字の解読」

W.A.フェアサービス

インダス文明の文字は資料が少なく長い間謎に包まれていたが,解読の糸口がつかめた。

 

P98「医療に貢献する病理解剖」

S.A.ゲラー

医療の向上はもちろん適切な保健計画を立案する上でも,病理解剖は不可欠の手段である。

 

P108「隠した食物を探しだす鳥」

S.J.シェトルワース

シジュウカラやカラスの仲間には,何千もの貯食場所を数ヵ月間も記憶している鳥がいる。

 

 

サイエンス1983年6月号

P9(別冊75)「ヨーロッパの非戦場核地帯」

B.M.ブレッチマン/M.R.ムーア

パルメ委員会の新しい提案は,核戦争の危険性を減少させるための実行可能な方策である。

 

P18(別冊63)「シリコン基板に組み込んだマイクロセンサー」

J.B.エンジェル/S.C.テリー/P.W.バース

マイクロエレクトロニクスとまったく同じ技術を使って,バルブやセンサーが製造できる。

 

P32「海底の熱水噴出」

J.M.エドモンド/K.V.ダム

2600mの海底の熱水噴出は奇妙な生態系をはぐくみ,大きな鉱床を生み出している。

 

P58(別冊77)「抑制T細胞因子の構造と機能」

谷口克

免疫調節で中心的役割を果たす抑制T細胞因子の分子構成と各部の機能が明らかになった。

 

P70(別冊85)「クォークは内部構造をもつか」

H.ハラリ

物質の最小単位と考えられるクォークは,さらに小さな単位からできているかもれない。

 

P90「レム睡眠中の脳のはたらき」

A.R.モリソン

レム睡眠時の筋弛緩を実験的に取り除くことによって,睡眠中の脳の働きが明らかになる。

 

P102「細胞性粘菌の信号物質」

J.T.ボナー

細胞性粘菌のアメーバは,種に特有な化学物質を分泌して,種ごとの独自性を保っている。

 

P112「直観と物理学」

M.マックロスキー

物体の運動を直観的にとらえたとき,多くの人はニュートンの法則に反した考え方をする。

 

 

サイエンス1983年7月号

P17「スマート・ミサイルの発達と海戦の変貌」

P.F.ウォーカー

スマート・ミサイルの威力の前では,膨大な費用がかかる海軍艦船の増強は疑問視される。

 

P28(別冊80)「先天盲の開眼手術と視知覚の形成」

鳥居修晃

誕生時や幼児期に失明した人が手術で開眼しても,直後はものを知覚することができない。

 

P40(別冊68)「低温でできる無機材料」

J.D.バーチェル/A.ケリー

今までの有機化合物に代わって,セメントのバネや無機発泡体などができるようになった。

 

P58「コンピューターがひらく新しい統計学」

P.ダイアコニス/B.エフロン

ブートストラップ法による統計は,その正確さにより従来の統計にとって代わりつつある。

 

P76「突発性心臓死を解析するトポロジー」

A.T.ウインフリー

トポロジーの理論を応用すると,突発的におこる心臓死の原因をつきとめることができる。

 

P90「現代の養豚システム」

W.G.ポンド

経済性の追求と生物学の進歩が結びつき,一貫経営による新しい養豚システムが生まれた。

 

P100「ミクロボディー」

G.ドデュープ

1枚の膜に包まれたこの細胞内小器官の正体が,形態学と生化学の両面からわかってきた。

 

P114「原子核の振動」

G.F.バーチ

原子核はつねに振動しており,その振動には6つの型があることが実験により確認された。

 

 

サイエンス1983年8月号

P20「北京原人」

呉汝康/林聖竜

過去5年間の発掘で,周口店洞くつに住んでいた北京原人の生活の様子が明らかになった。

 

P30(別冊89)「渦状銀河の“見えない物質”」

V.C.レビン

渦状銀河の中の大部分の物質は,光を放射しない暗黒の物質であることが観測で判明した。

 

P44(別冊71)「植物に新しい遺伝子を導入するベクター」

M.D.チルトン

ある種の細菌がもつプラスミドを利用することで,植物の遺伝子の改良も夢でなくなった。

 

P62「巨大なカルデラ」

P.フランシス

想像を絶する大噴火によって,直径が数十kmにも達する巨大カルデラができる。

 

P82(別冊67,83)「素励起の物理“ポーラロン”」

眞隅泰三

イオン性結晶内にある伝導電子は,そのまわりに誘電分極を伴いながら結晶中を移動する。

 

P96「クジラとイルカの潜水能力をさぐる」

J.W.カンウィッシャー/S.H.リッジウェイ

水中という特殊な環境に適応した海産の哺乳類は,独特の方法で生体機構を維持している。

 

P106「カントールと超限集合論」

J.W.ドーベン

カントールは,1890年代に,無限どうしの間にも,大小の階層構造があることを証明した。

 

P119「ファスナーの歴史と製法」

L.ワイナー

1851年にミシンの発明者ハウが発明したファスナーは,たび重なる改良で急速に普及した。

 

 

サイエンス1983年9月号

P13「大型コンピューターのパッケージング技術」

A.J.プロジェット

IBM3081は,100個以上のチップを搭載できる多層セラミック配線板を組み込んでいる。

 

P26「ウミウシの学習」

D.L.アルコン

単純な神経系をもつ軟体動物が,ヒトの記憶や学習のなぞを解く手がかりを与えてくれる。

 

P38(別冊85)「“裸の美女”の検出」

N.ミストリー/R.ポーリング/E.ソーンダイク

第5のフレーバー,つまりビューティーが隠されていないB中間子が実験的に確認された。

 

P60(別冊68)「アモルファス材料」

S.オブシンスキー/D.アドラー

理論的研究が進とともに,この未開拓分野から,続々とユニークな材料が誕生している。

 

P74「サケは海の家畜になるか」

L.R.ドナルドソン/T.ジョイナー

サケ科魚類がもっている生来の性質を利用し,サケを海の家畜として扱えるようになった。

 

P89「ヤシの葉の生長」

D.R.カブラン

ヤシ科植物の葉は,不均等生長と特定部分の細胞の死との組み合わせによって形成される。

 

P98「大陸はどのように分裂するか」

V.コーティロット/G.E.ビンク

新しいプレートの生成に伴って,大陸は徐々に変形しながら数百万年かかって分裂する。

 

P108「クレオル諸語」

D.ビッカートン

世界中に散在するこの言語の文法構造は,幼児の覚えたての言葉の構造に非常に似ている。

 

 

サイエンス1983年10月号

P12「インターフェロンの量産と精製」

S.ペスカ

発見後25年,つねに期待が先行してきたこのタンパク質も,ついに臨床試験段階を迎えた。

 

P22「高エネルギー光でみた原子核」

本間三郎

高エネルギーγ線を使った実験で,原子核内に2つの核子が対になっているのが判明した。

 

P32「宇宙の磁場」

E.N.パーカー

惑星,太陽,恒星,銀河と宇宙のあちこちにある磁場は,ダイナモ機構によって発生する。

 

P52「隕石の中の太陽系外物質」

R.S.ルイス/E.アンダース

隕石には,太陽系内の物質以外に,超新星や赤色巨星でつくられた物質が紛れこんでいる。

 

P66「化学物質で防衛するシロアリ」

G.D.プレストウィッチ

体が柔らかく捕食されやすいシロアリは,刺激性や粘着性のある化学物質で敵に対処する。

 

P78「集団の合理的選択」

D.H.ブレア/R.A.ポラック

合理的な投票法のあり方を詳しく解析することは,よりよい選択法を見つけるのに役立つ。

 

P92「ノルウェーに現存する800年前の木造建築」

P.アウネ/R.L.サック/A.セルベルグ

建築家の細心の設計によって,800年前の木造教会堂がノルウェーに現在でも残っている。

 

P104「デジタル・タイポグラフィ」

C.ビゲロウ/D.デイ

活字や写植文字に代わって,コンピューターを駆使したデジタル文字が広く使われ始めた。

 

 

サイエンス1983年11月号

P12「ダイナミックな地球」

R.シーバー

地球は,生命体を含むさまざまな流体が相互作用しながら定常状態を保つ1つの系である。

 

P24(別冊99)「地球の核」

R.ジンローズ

地球の中心には固体の内核と液体の外核があり,鉄でできた外核が地球磁場を作っている。

 

P36(別冊99)「マントル」

D.P.マッケンジー

地表から700kmの岩石層は,核からの熱によって大規模な対流を起こしている。

 

P56(別冊99)「海洋地殻」

J.フランシュトー

中央海嶺で生まれ成長していく海洋地殻の様子が,最新の観測により詳細にわかってきた。

 

P72(別冊99)「大陸地殻」

B.C.バーチフィール

大陸地殻は,絶えず起こる造山作用,火成作用,浸食作用,堆積作用で,改造されてきた。

 

P88「海洋」

W.S.ブロッカー

海水に含まれる化学成分は,大気との相互作用により供給と除去のバランスを保っている。

 

P102「大気圏」

A.P.インガソル

大気の運動モデルをつくることによって,過去の気候を説明し,未来の気候が予測できる。

 

P116「生物圏」

P.クラウド

地球上の微生物,動植物のすべてが,岩石圏,水圏,気圏の進化を強力に押し進めている。

 

 

サイエンス1983年12月号

P12「実用化にせまる磁気核融合」

R.W.コン

磁気核融合は基礎研究の段階を終えて,実用化に向けて技術的な問題のつめに入っている。

 

P28「新しい遺伝標識“唾液型”」

池本卯典

ABO式血液型のように,唾液中にもいろいろな遺伝性物質が含まれていることがわかった。

 

P40(別冊72)「宇宙の構造とパンケーキ理論」

J.シルク/A.S.ソロイ/Y.B.ゼルドビッチ

ビッグバン直後にあった密度のゆらぎが,現在の超銀河団と空洞を生み出すもとになった。

 

P56(別冊71)「RNAのプロセッシング」

J.E.ダーネル

有核細胞のRNAは,転写やタンパク質への翻訳のあいだにさまざな加工処理を受ける。

 

P70「6000年前のバッファロー狩り」

B.O.K.リーブス

北アメリカのインディアンは,バッファローの群れを断崖から追い落とし狩りをしていた。

 

P84「死海」

I.スタインホール/J.R.ガット

5年前,上下2つの層にわかれていた死海の湖水は突然まざり合い均一になってしまった。

 

P100「アンモナイトの絶滅」

P.ウォード

アンモナイト類の歴史の終わりに見られる殻形の多様な変異から,絶滅の原因が判明した。

 

P112(別冊75)「米ソ軍備管理交渉の歴史」

H.F.ヨーク

米ソ間の軍備管理交渉はつねに両国がもつ固有の問題点のため暗礁に乗り上げてしまう。