サイエンス1982年:掲載論文一覧

※「日経サイエンス」の1990年9月以前の誌名は「サイエンス」です。

※各項目は,掲載ページ,論文名,著者名,内容の要約の順に並んでいます。

 

 

サイエンス1982年1月号

P9(別冊76)「ボイジャーのみた惑星の環」

J.B.ポラック/J.N.クッチ

木星,土星,天王星の環ができた過程を,ボイジャーの観測で得たデータに基づいて探る。

 

P26(別冊53)「新しい暗視装置マイクロチャンネル・プレート」

M.ランプトン

個々の画素の明るさを1万倍も高め,暗闇でも鮮明な画像をうつしだせる装置が誕生した。

 

P38(別冊71)「DNA修復のしくみ」

P.ハワード・フランダース

傷害を受けたDNAは,大きく分けて2つあるいずれかの方法で修復され,生物は生き続ける。

 

P60「チョウの斑紋はどのように形成されるか」

H.F.ナイハウト

変化に富むチョウやガの美しい色彩斑紋は,ごく少数の単純な規制に基づいて形成される。

 

P74「アンモナイト」

小畠郁生/棚部一成/福田芳生

アンモナイトの化石をオウムガイやイカ,タコと比べると,進化の過程が明らかになる。

 

P86「流体相のシミュレーション」

J.A.バーカー/D.ヘンダーソン

分子が不活性の剛体球であるというモデルを考えると,気体や液体の構造は理解しやすい。

 

P96「カナダに残されたバスク人の捕鯨基地」

J.A.タック/R.グレニア

古文書に基づく発掘調査により,16世紀バスク人の捕鯨基地跡がラブラドルで見つかった。

 

P106「米国の人口動向」

P.M.ハウザー

1980年のセンサスでは,史上初めて非大都市圏の人口増加率が大都市圏のそれを上回った。

 

 

サイエンス1982年2月号

P8(別冊53)「レーザー兵器」

K.ツィピス

人工衛星にレーザー兵器を積み込んで,敵の大陸間弾道弾を撃墜する計画は可能だろうか。

 

P16「磁石をもつ細菌」

R.P.ブレイクモア/R.B.フランケル

ある種の水生細菌は,マグネトソームと呼ばれる磁石をもっており,磁極に向かって泳ぐ。

 

P26「石炭液化の化学」

真田雄三

液化プロセスを合理的に設計・操作するためには,液化反応のしくみの解明が先決である。

 

P44(別冊76)「木星と土星の縞模様」

A.P.インガソル

この大気循環は,日光が差し込む表面層に限られるのか,数万kmの深部まで達するのか。

 

P58「フクロウの鋭い感覚」

E.I.クヌードセン

暗闇で獲物の垂直方向の位置を識別するために,フクロウの左右の耳は上下にずれている。

 

P70「フィブリノーゲンとフィブリン」

R.F.ドゥーリトル

どのようにしてフィブリノーゲンが重合し,フィブリンになって血を止めるかがわかった。

 

P82「計算機による代数処理」

R.パベル/M.ロススタイン/J.フィッチ

新しい汎用の算法を用いれば,これまで手に負えなかったような問題も解けるようになる。

 

 

サイエンス1982年3月号

P8(別冊76)「土星の月」

L.A.ソーダブロム/T.V.ジョンソン

ボイジャー1号と2号の観測によれば,17個の衛星は岩石ではなくおもに氷でできている。

 

P24「恐竜はなぜ絶滅したか」

D.A.ラッセル

6300万年ほど前に恐竜をはじめ多くの動植物が絶滅したのは,小惑星の落下が原因らしい。

 

P34「ヒルの神経系の発生」

G.S.ステント/D.A.ワイズブラット

新しい細胞追跡の手法によって,ヒルが神経系を形成していく発生のしくみが解明された。

 

P54(別冊63)「スーパーコンピューター」

R.D.レビン

世界中に30台余りしかない強力なコンピューターは,毎秒1億回もの演算を実行できる。

 

P74「ビタミンAを貯蔵する細胞」

山田英智

人体に不可欠なビタミンAは,肝臓だけでなく肺や消化管の特殊な細胞にも蓄えられる。

 

P88(別冊67)「安定な原子状水素をつくる」

I.F.シルベラ/J.ワルラーベン

水素を原子状態のまま安定させる技術が開発され,量子気体の性質を理解する道が開かれた。

 

P100「アフガニスタンの古代ギリシャ都市」

P.ベルナール

紀元前2~3世紀ごろ中央アジアに栄えた,ギリシャ植民地の幻の古代都市が発掘された。

 

P112「選択の心理学」

D.カーネマン/A.ツベルスキー

損を承知で宝くじを買うというような不合理な心理も,数学的に説明できるようになった。

 

 

サイエンス1982年4月号

P8「tRNAの完全合成」

池原森男

RNAの合成はDNAに比べて格段に困難だが,世界に先駆けてtRNAが完全合成された。

 

P22(別冊76)「大気をもつタイタン」

T.オーエン

土星の最大の月タイタンには大気が存在し,生命誕生直前の地球に近い状態にあるらしい。

 

P34「350万年前の人類の足跡」

R.L.ヘイ/M.D.リーキー

アフリカの一部には,すでに350万年前に直立歩行する人類がすんでいたことがわかった。

 

P54(別冊72)「クエーサーが示す初期の宇宙」

P.S.オズマー

150億年前の夜空は現在よりずっと明るく,肉眼でも4つのクエーサーが見えただろう。

 

P70「魚は色をどう見るか」

J.S.レビン/E.F.マックニコル

魚はそれぞれ,自分たちがすんでいる環境に適した色覚を得るような視物質をもっている。

 

P82「炎の化学」

W.C.ガーディナー

燃焼の化学においては,燃焼が燃える途上でどんな反応中間体が生成するかが問題となる。

 

P94「トガウイルスの細胞への侵入と脱出」

K.シモンズ/H.ガロフ/A.ヘレニウス

ある種のウイルスは,ウイルスの膜と細胞膜が融合することによって細胞の中に入り込む。

 

P104「低レベル放射線の影響」

A.C.アプトン

自然環境や人工線源からの低レベル放射線は,人間にどのくらいの障害を与えているか。

 

 

サイエンス1982年5月号

P9(別冊72)「超銀河集団と宇宙の空洞」

S.A.グレゴリー/L.A.トンプソン

赤方偏移の観測から,少なくとも3個の超銀河集団と銀河のない巨大な空洞がみつかった。

 

P20「コカイン」

C.バン・ダイク/R.ビック

コカインは長い歴史をもった薬物だが,その依存性は化学的に特異な構造に由来している。

 

P30「メキシコ湾流からの巨大な渦」

P.H.ウィーベ

メキシコ湾流など流れの強い海流は,直径が300kmにも達する渦をつくりだす。

 

P48(別冊90)「ガンをひき起こす遺伝子」

J.M.ビショップ

細胞タンパク質のリン酸化を起こすレトロウイルス遺伝子が,ガン化で大きな役割をする。

 

P62(別冊68)「新しい薄帯磁性材料」

津屋昇/荒井賢一

硬くてもろいとされていた材料が,融体超急冷法でまったく新しい材料に生まれ変わった。

 

P76(別冊55)「中間ベクトル・ボソンを創る」

D.B.クライン/C.ルビア/S.バン・デル・メール

弱い相互作用を媒介する素粒子を検出しようと,これまでで最大規模の実験が行なわれる。

 

P90「ヘビは赤外線像をどう“見る”か」

E.A.ニューマン/P.H.ハートライン

孔器官をもつヘビは,中脳で赤外線と可視光の情報を統合して独特の“視覚”を構成する。

 

P102(別冊63)「製造業でのレーザー利用」

A.V.ラロッカ

レーザー工具は、材料の孔あけ、切断、溶接、熱処理、合金化に広く利用され始めている。

 

 

サイエンス1982年6月号

P8「新しい海洋石油プラットホーム」

F.S.エラーズ

水深180mの海で30mの波に耐える構造物を造るには大胆な技術が必要だ。

 

P22「脳の働きを修正する栄養素」

R.J.ワートマン

神経伝達物質の原料となるアミノ酸などは,食物にまぜて使うと新しい型の薬となりうる。

 

P34「ミシシッピ川の大地震帯」

A.C.ジョンストン

170年前の大地震など米国ミシシッピ川流域の地震は,古い地溝帯の再活動が原因らしい。

 

P50「銀河の巨大分子雲」

L.ブリッツ

ほとんどが水素分子からなる巨大分子雲は,私たちの銀河で最も質量の大きい天体である。

 

P61(別冊55)「超重量磁気単極子」

R.A.カリガン/W.P.トラウアー

磁気単極子が存在すれば,それはゾウリムシほどの重さをもつなど,異例の素粒子だろう。

 

P72「ダイオウイカ

C.F.E.ローパー/K.J.ボス

ダイオウイカ類には,長さ18mで重さ450kgにも達する巨大なものがある。

 

P80「松果体と生物時計」

出口武夫

生物の種々の活動には規則正しいリズムがあり,その調節をになっているのが松果体である。

 

P92「ガロアの短い生涯」

T.ロスマン

この天才は決闘前夜に群論を書いたとされているが,実は完成の域には達していなかった。

 

 

サイエンス1982年7月号

P8「生命操作とDNA学」

渡辺格

生命操作が可能になった現在,分子生物学に代わるより広範なDNAの確立が望まれる。

 

P20(別冊63,70,84)「医療用NMRスキャナー」

I.L.ピケット

この診断装置は,原子の分布状態をもとに画像を合成するので,病巣の早期発見に役立つ。

 

P32(別冊69)「宇宙ジェット」

M.ビーゲルマン/M.リース/R.ブランドフォード

銀河の中心の激しい活動によって生じる電離ガスの噴流は,長さが数百万光年にも達する。

 

P54(別冊77)「遺伝子レベルでみた抗体の多様性」

P.レーダー

わずかな数百個の遺伝子断片の組み合わせによって,100億種類以上の抗体が生み出される。

 

P72(別冊85)「クォーコニウム」

E.D.ブルーム/G.J.フェルトマン

重いクォークとその反粒子からなる“原子”を調べれば,クォークの間に働く力がわかる。

 

P88「ヒラメの眼はなぜ左にあるか」

D.ポリカンスキー

日本産ヌマガレイは両眼が左にあるが,カリフォルニア産のものは半数が右に両眼をもつ。

 

P96「グレゴリオ暦400年」

G.モイヤー

1582年,教皇グレゴリウス13世は暦と季節との狂いを食い止めるため,改暦に踏みきった。

 

P106「ジャガイモのクローン栽培」

J.F.シェパード

葉の細胞1個から,クローン法で高品質・高収量のジャガイモの新種を作ることができた。

 

 

サイエンス1982年8月号

P8「リン鉱床」

R.P.シェルダン

食料の安定供給のためには,化学肥料の原料となるリン資源を有効に活用する必要がある。

 

P16「秩序構造の形成」

妹尾学

非平衡の散逸構造を考えると,なぜ生命が地上に発生したかについてのヒントが得られる。

 

P26「魚はどのように群れを維持するか」

B.L.パートリッジ

群れの中の魚は,視覚と水の動きの変化をとらえる側線によって,その位置を保っている。

 

P50(別冊72)「VLBIでみた電波宇宙」

A.C.S.リードヘッド

遠隔地の望遠鏡を連結し大型電波干渉計(VLBI)を作ると,高分解能の天体像が得られる。

 

P62「視覚的注意の脳内機構」

R.ワーツ/M.ゴールドバーグ/D.ロビンソン

物を見るときに起きる脳細胞の活動変化の研究から,注意の仕組みが明らかになってきた。

 

P74「物質の量子力学」

M.L.コーエン/V.ハイネ/J.C.フィリップス

擬ポテンシャル理論によって,数多くの材料の性質を正確に理解できるようになった。

 

P92「カルモジュリン」

張槐輝

この普遍的なタンパク質はカルシウムイオンと結合して活性化し,酵素の働きを調節する。

 

P104「バーミンガムのルナ協会」

L.リッチ・コールダー

18世紀の英国の科学と技術は,満月の夜に集う“変人”たちの自由な討論で大きく進展した。

 

 

サイエンス1982年9月号

P23(別冊68,84)「有機化合物の超伝導体」

K.ベチガード/D.ジェローム

金属だけで確認されていた超伝導現象が,有機化合物の結晶でも起こることが発見された。

 

P34「スペーステレスコープ」

J.N.バーコール/L.スピッツァー

1985年,大型天体望遠鏡がスペースシャトルで大気圏外に運ばれ,宇宙を鮮明に映しだす。

 

P48「ハンググライダーから超軽量飛行機へ」

M.A.マルコフスキー

ハンググライダーに小型エンジンを取り付け,手軽に空中散歩を楽しめる乗り物ができた。

 

P74「若い星からの高エネルギー・ガス流出」

C.J.ラダ

星が誕生しつつある暗黒星雲からは,分子ガスが二極流となって超音速で流れ出している。

 

P86(別冊71)「DNAトポイソメラーゼ」

J.C.ワン

環状DNA分子の立体構造を調節する酵素トポイソメラーゼは,遺伝情報の複製を左右する。

 

P100(別冊59)「協同繁殖をする鳥モリヤツガシラ」

J.D.リゴン/S.H.リゴン

この鳥は,群れの中の1つがいだけが繁殖し,残りの成鳥はそのヒナの養育を手助けする。

 

P110「生痕化石でみる古生物の生活」

福田芳生

古生物の捕食のあとや排せつ物など生活の様子をとどめた化石から,当時の生態がわかる。

 

P120(別冊70)「動脈瘤の原因と治療」

K.ヨハンセン

診断装置や外科の技術の進歩によって,恐ろしい動脈瘤の早期発見や治療が可能になった。

 

 

サイエンス1982年10月号

P13「二酸化炭素の増加と気候変動」

R.レベル

大気中の二酸化炭素の量が増え続けているため,地球の平均気温がしだいに上昇している。

 

P24「アレルギー」

P.D.ビサレット

花粉などによって起きるアレルギーの仕組みが,細胞・分子レベルで明らかになってきた。

 

P36「古気候が決めた植物の進化」

浅間一男

植物は夏冬の気温較差の漸増を原動力にして,小葉系,大葉系,有節系の三系統で進化した。

 

P66「微生物による採鉱」

C.L.ブライアリー

細菌を使って,低品位の鉱石から銅やウランを溶かし出し回収する方法が普及しつつある。

 

P82「銀河コロナ」

K.S.デボール/B.D.サベージ

人工衛星からの観測により,私たちの銀河系が高温ガスでおおわれていることがわかった。

 

P94「金属表面の物理学」

R.ゴーマー

金属結晶の表面では,吸着した原子や分子が活発に動き回るため,複雑な現象が見られる。

 

P106(別冊60)「オフィオライト」

I.G.ガス

陸上でみつかる海洋地殻の断片から,海洋地殻のでき方や海洋底拡大のプロセスがわかる。

 

P118「ガリレオ事件」

O.ギンガリッチ

地球の公転を論じたガリレオの推論は,教会の反対に抗して,新しい方法論をうち立てた。

 

 

サイエンス1982年11月号

P13「労働の機械化」

E.ギンズバーグ

労働の機械化は,生産性を飛躍的に向上させるとともに社会の構造も大きく変えてしまう。

 

P130「労働と所得の分配」

W.W.レオンチェフ

労働の機械化は労働者の購買力の低下をまねき,経済政策上の不利に結びつくことがある。

 

P26「農業の機械化」

W.D.ラスムッセン

150年前に全労働人口の70%を占めていた農業従事者は,機械化により3%まで減少した。

 

P42「鉱業の機械化」

R.L.マロベリ/J.M.カーナク

機械化によって,米国で必要な鉱物の80%以上が,わずか1%の労働力で採掘されている。

 

P62「設計の機械化と製造の自動化」

T.G.ガン

工場の機械化は,製品の生産現場だけにとどまらず製品の設計部門にまで進出している。

 

P86「金融と流通の機械化」

M.L.アーンスト

小切手の処理や商品流通などのサービス分野は,商品の生産分野より機械化が進んでいる。

 

P102「オフィスの機械化」

V.E.ジュリアーノ

オフィスでの情報処理は,主役が従来の紙からエレクトロニクスへと急速に移行している。

 

P116「婦人労働と機械化」

J.W.スコット

機械を使う作業に女性が参加してから2世紀たつ今日でも,低賃金と職業差別は存在する。

 

 

サイエンス1982年12月号

P13「核実験の全面禁止は可能か」

L.R.サイクス/J.F.エバーンデン

地震学の発展で,地下核実験など小規模な秘密の核実験も地震と識別できるようになった。

 

P24「シナプス伝達とカルシウムイオン」

R.R.リナス

神経細胞の連鎖を信号が伝わっていくには,カルシウムイオンの存在が必要不可欠である。

 

P36「ミツバチの家捜し行動」

T.E.シーレイ

分蜂したミツバチの群れが新しい造巣場所を見つけるとき,“熟年”の働きバチが活躍する。

 

P54(別冊63)「人工知能」

D.L.ウォルツ

人間の知的な能力を探る人工知能の研究により,視覚情報処理や自然言語の解析が進んだ。

 

P84(別冊63)「情報処理技術が支える石油探査」

石井吉徳

地震反射法は,地中の様子をはっきり再現できるので,海底油田の探査も正確に行える。

 

P96(別冊61)「宇宙を探るCCD撮像装置」

J.クリスチャン/M.ブラウク

データ精度の高いCCD撮像装置が開発され,遠くて暗い銀河も観測できるようになった。

 

P108(別冊68)「磁性流体」

R.E.ローゼンワイク

現在注目されているこの新素材は,真空シールや資源の再利用技術などに広く使えそうだ。

 

P120「河をさかのぼる水の壁」

D.K.リンチ

潮の干満の差が非常に大きな所では,高さ数mもの波が河をさかのぼることがある。