サイエンス1979年:掲載論文一覧

※「日経サイエンス」の1990年9月以前の誌名は「サイエンス」です。

※各項目は,掲載ページ,論文名,著者名,内容の要約の順に並んでいます。

 

サイエンス1979年1月号

P9「粒子ビームによる核融合」

G.ヨナス

燃料ペレットに電子やイオンのビームを照射して核融合をおこす方法が脚光をあびている。

 

P24「タバコモザイクウイルスの形態形成」

P.J.G.バトラー/A.クルーグ

タバコモザイクウイルスのタンパク質と核酸は,予想以上に複雑な方式により結合する。

 

P34(別冊50)「脳の報償系と記憶」

A.ラウテンバーグ

学習や記憶に関係する神経線維系“快楽中枢”の間に,つながりがあることが判明した。

 

P50「軟X線がひらく新技術」

E.スピラー/R.フェダー

長波長の“軟らかい”X線が,顕微鏡,天体観測,超集積回路の作製に用いられはじめた。

 

P62(別冊25)「銀河集団とブラックホール」

P.ゴーレンシュタイン/W.タッカー

銀河集団の中心近くには巨大な銀河があり,その中心の核はブラックホールかもしれない。

 

P76「研摩のメカニズム」

L.E.サミュエルズ

多くの金属部品の仕上げには砥粒加工が用いられるが,その効率は砥粒により左右される。

 

P86(別冊50)「においと脳」

高木貞敬

ニオイをかいで識別するのに脳内のどの神経が働いているのかが実験ではっきりわかった。

 

P100「ライト兄弟の飛行機」

F.J.フーベン

ライト兄弟の飛行機の昇降舵が前方にあるのは,安定性より操縦性を重んじたからである。

 

 

サイエンス1979年2月号

P8「燃料電池による発電」

A.P.フィケット

公害物質を出さない高効率の燃料電池発電システムの実用化が急ピッチで進められている。

 

P16「ヘモグロビンの構造と酸素輸送」

M.F.ベルーツ

ヘモグロビンが効率よく酸素を捕えたり放したりするのは,その構造が変わるためである。

 

P32「海洋底の宇宙塵」

山越和雄

海洋底の宇宙塵は,隕石や月の石とともに地上で手に入れることができる宇宙物質である。

 

P52(別冊58)「原子核分子」

D.A.ブロムリー

2個の原子核を高速で衝突させると,ごく短時間だか両者が結びついて分子のようになる。

 

P66「反射鏡をもつホタテ貝の眼」

M.F.ランド

軟体動物のなかには眼に薄膜でできた反射鏡をそなえ,それを用いて物を見るものがいる。

 

P76(別冊48)「ガス星雲」

E.J.チェイソン

私たちの銀河系内に見られるガス星雲は,ガスと微塵からなるより大きな系の一部である。

 

P94「速く走れる競争トラック」

T.A.マクマホン/P.R.グリーン

人体の走るメカニズムを厳密に分析し,走り心地のよいトラックを設計することができた。

 

P106「発掘されたアクナトン神殿」

D.B.レッドフォード

アクナトンの建造物は完全に破壊されてしまったが,現在それらの復元が進められている。

 

 

サイエンス1979年3月号

P9「代替エネルギーとしての石炭」

E.D.グリフィス/A.W.クラーク

近い将来その生産が下降しはじめると思われる石油に代わり,再び石炭が見直されている。

 

P20「眼球の飛躍運動」

A.T.バーヒル/L.スターク

眼球の断続的な動きを詳細に分析して,脳による眼球運動のコントロール機構を解明した。

 

P32「マッコウクジラの頭はなぜ大きい」

M.R.クラーク

マッコウクジラの頭の中の大きな脳油器官は,潜水時の浮力の調節に役立っているらしい。

 

P52(別冊60)「大陸の深部構造」

T.H.ジョーダン

大陸の下部には,大陸とともに動く厚さ数百kmの巨大な根のような部分がある。

 

P72「ピアノの弦の物理学」

G.ウェインリーチ

1つの鍵で作動する複数の弦のミスチューニングが,鳴音に思いがけない効果をもたらす。

 

P82(別冊30)「細胞膜はどのようにつくられるか」

H.F.ロディッシュ/J.E.ロスマン

細胞膜の働きを支える膜内外の性質の差は,そこでのタンパク質と脂質の結合の差による。

 

P102(別冊34)「開発が進む光通信用デバイス」

A.ヤリフ

光通信用の薄膜光デバイスの研究が進み,微小で効率の良い部品がつくれるようになった。

 

P112(別冊79)「環境を変える好アルカリ性細菌」

掘越弘毅

今まで調べられていなかったアルカリ性土壌にも,多くの細菌が存在することがわかった。

 

 

サイエンス1979年4月号

P.8(別冊33)「SALTII協定」

L.アスピン

米国の監視能力とソ連の技術水準からみて,ソ連にも極秘裏にはSALT�違反はできない。

 

P.18「聴診器の歴史」

S.J.ライサー

医療診断に使われた最初の機械である聴診器は,医師と患者間の信頼関係の象徴である。

 

P.26「鳥の卵はどのように呼吸するか」

H.ラーン/A.アー/C.V.パガネリ

鳥の胚は,卵殻にある無数の微小な穴を通して,単たる拡散により酸素をとり入れている。

 

P.44「素粒子模型としてのソリトン」

C.レビ

いつまでもその形と大きさを保つ波であるソリトンは,質量の大きな素粒子と考えられる。

 

P.66「ごまかし遺伝子」

J.F.クロー

ある種の生物の進化では,正常な性質発現を妨げる“ごまかし遺伝子”が役割を果たしている。

 

P.78「地球磁場をつくる重力エネルギー」

C.R.カリガン/D.ガビンズ

地球磁場の源は,重い物質が核の中心へ落ちたときに解放される重力エネルギーであろう。

 

P.90「湖底考古学」

A.ボッケ

スイス国内や周辺の湖沼には先史時代の遺跡が多く,湖底考古学の研究対象となっている。

 

P.100(別冊28)「染色体の遺伝相談」

前田徹

遺伝性疾患に悩む人々には,依願的知識とデータに基づく適切なアドバイスが必要である。

 

 

サイエンス1979年5月号

P8(別冊43)「アポロ天体」

G.W.ウェザリル

これは地球軌道を横切るような軌道をもつ小天体で,揮発性成分を失った彗星の核らしい。

 

P22「神経細胞膜のイオンチャネル」

R.D.ケインズ

フグ毒などの使用によって,神経細胞膜のイオンチャンネルの機序がくわしくわかってきた。

 

P32「赤外線で見た銀河の構造」

早川幸男/松本敏雄

気球やロケットを使って近赤外線領域で銀河を観測した結果,その構造が明らかになった。

 

P52(別冊34)「水素原子のスペクトル」

T.M.ヘンシュ/A.L.シャウロウ

レーザー分光学の進歩によって,まず最も簡単な水素原子の構造の詳細が解明されてきた。

 

P74(別冊44,91)「ガンの転移」

G.L.ニコルソン

ガン細胞は血液とリンパで全身に運ばれ,特定の臓器を選んで新しいガンをひきおこす。

 

P88「イルカ」

B.ビルジック

この大きな脳をもつ海生哺乳類がどれくらい知的であるかは,いまだに謎に包まれている。

 

P100(別冊80)「中枢神経系による色の知覚」

A.L.ギルクライスト

人間は,中枢神経での対象物の表面と周囲との空間的の関係を判断し,その色を知覚する。

 

P112「古代の兵器“カタパルト”」

W.スウェデル/V.フォレイ

古代の兵器“カタパルト”には,種々の高度に発達した近代的機構の原型が採用されていた。

 

 

サイエンス1979年6月号

P11(別冊33)「粒子ビーム兵器」

J.パーメントラ/K.ツィピス

高エネルギーをもつ荷電粒子ビームを兵器に使用すれば,強力な破壊力が得られるだろう。

 

P113「インクジェット印刷」

L.クーン/R.A.マイヤーズ

無数の微小なインク滴を噴射して文字を描くこの方法は,コンピューターで制御しやすい。

 

P26「空手の物理学」

M.S.フェルド/R.E.マクネア/S.R.ウィルク

何枚もの板やブロックをどうして素手で打ち割れるのか,種々のモデルを用いて解明した。

 

P36「稲の生育環境と品種改良」

田中明

多様な気象・土壌条件で栽培されている稲の品種特性を追究し,“奇跡の稲”を作り出した。

 

P64「生物時計を支配する酵素」

S.ビンクリー

脊椎動物の活動リズムを支配し調節するのは,松果体が分泌するNATという酵素である。

 

P74「円盤銀河の進化」

S.E.ストローム/K.M.ストローム

私たちの銀河をはじめ渦巻き銀河は,渦巻き腕のないなめらかな円盤銀河に進化しやすい。

 

P88(別冊44,91)「ガンとテラトーマ」

K.イルメンゼー/L.C.スティーブンス

奇妙な腫瘍“テラトーマ”は,ある種のガンが特別な環境下で正常に分化することを示した。

 

P102「古代中国の骨占い」

周鴻翔

古代中国の貴族たちは,祖先の神託を得ようと獣骨や亀の腹甲を用いて骨占いを行なった。

 

 

サイエンス1979年7月号

P9(別冊48)「銀河系の一酸化炭素」

M.A.ゴードマン/W.B.バードン

私たちの銀河系の一酸化炭素は,中心から1万7000光年あたりにリング状に分布している。

 

P24「哺乳類の脳冷却システム」

M.A.ベイカー

一部の哺乳類の脳にある網目状の静脈は冷却装置として働き,脳の温度上昇を防いでいる。

 

P34「陽子の構造とスピン」

A.D.クリッシュ

工夫された陽子同士の衝突実験は,陽子の内部に高速で回転するものがあることを示す。

 

P62(別冊34)「レーザー化学」

A.M.ロン

レーザーの単色光は、特定のエネルギー変化によって化学反応を誘起するのに最適である。

 

P76(別冊42)「オーロラの電流を探る」

上出洋介

美しいオーロラの中には,100万~1000万アンペアもの強い東西方向の電流が流れている。

 

P92(別冊30)「分子レベルでみた細胞運動」

E.ラザリッズ/F.P.レベール

筋細胞以外の細胞も,アクチンやミオシンなどの少数のタンパク質に操られて運動を行なう。

 

P108「ジオットが描いたハレー彗星」

R.J.M.オルソン

ジオットは,キリスト生誕時の星を,1301年に出現したハレー彗星をモデルにして描いた。

 

P118(別冊65)「200億年かかっても解けない問題」

L.J.ストックマイヤー/A.K.チャンドラー

ある種の計算問題を解くには,宇宙大のコンピューターと200億年以上の長時間を要する。

 

 

サイエンス1979年8月号

P9(別冊37)「試験管ベビーをめぐる問題」

C.グロブスタイン

体外で受精させた卵を人間にまで育てあげることが可能になり,その是非が問われている。

 

P22「結び目の理論

L.ニューワース

ひものいろいろな結び方を数学的に解析することが,難解な抽象数学へとつながっていく。

 

P34(別冊45)「マイコンの分散配置による自動制御」

S.カーン/I.レフコビッツ/C.ローズ

数多くの“チップ”を階層構造につなぐことにより,工場全体を制御し動かすことができる。

 

P54(別冊58)「超冷中性子」

J.M.ペンドルバリー/P.アジェロン

超低速の中性子は固体表面を通り抜けられないので,びんの中に閉じ込めることができる。

 

P74「島にすむ鳥の生態」

樋口広芳

島にすむ鳥は,同じ種でもその形態,生態,行動が本土の鳥に比べていろいろ違っている。

 

P90(別冊37)「神経成長因子」

R.レビ・モンタルチニ/P.カリサーノ

神経成長因子と呼ばれるタンパク質の働きにより,神経細胞がのびて互いに結びつきあう。

 

P102「大西洋の誕生とその歴史」

J.G.スクレーター/C.タプスコット

1億6500万年前にでき始めた大西洋の海底地形の変化が,探査と理論から明かになった。

 

P116「夏が消えた年」

H.ストンメル/E.ストンメル

1816年の夏,インドネシアの火山の爆発の影響で,ニューイングランドは異常に寒かった。

 

 

サイエンス1979年9月号

P9(別冊33)「過小評価されている米国の核戦力」

K.N.ルイス

核戦力評価の際には,即時効果だけでなく同程度に大きな非即時効果も考慮すべきである。

 

P24(別冊48)「銀河系の中心はブラックホールか」

T.R.ゲバール

赤外線と電波の観測によれば,銀河系の中心部には大質量のブラックホールがあるらしい。

 

P38(別冊55)「クォーク閉じ込めのバッグ模型」

K.A.ジョンソン

クォークはバッグあるいは泡の中に閉じ込められているという説が支持を集めつつある。

 

P58(別冊44,90)「ガンとEBウイルス」

W.ヘレン/G.ヘンレ/E.T.レネット

これは伝染性単核症の起因ウイルスであるが,2種のヒトのガンとも関連しているらしい。

 

P76「ライト兄弟の飛行機はなぜ成功したか」

F.E.C.キューリック

彼らは今日なお通用する技術開発の手順に従い,飛行の諸問題を1つ1つ解決していった。

 

P90「植物工場」

高辻正基

植物の生長を正確に計測し環境制御を行うことによって,植物工場の実現が可能となる。

 

P102(別冊56)「奥行き運動の視知覚」

D.リーガン/K.ベバリー/M.シネイダー

奥行き運動を視知覚するために,ヒトの脳に2つのチャンネルが存在することがわかった。

 

P118「動物の発生における区画」

A.ガルシア・ベリード/G.モラータ

動物の形態はすでに胚の時期に決まっており,鍵遺伝子がその形態の発現を調節している。

 

 

サイエンス1979年10月号

P8(別冊44,90)「発ガン物質の新しい検出法」

R.ドゥボレ

発ガン物質を速やかに,かつ安価に検出する3種のバクテリアテストが新しく開発された。

 

P20「太陽ニュートリノ」

桜井邦明

太陽ニュートリノの観測により,標準モデルに基づく従来の太陽像は書きかえられている。

 

P32(別冊37)「トカゲの性行動とホルモン」

D.クルーズ

ある種のトカゲでは,雄の性行動の活発化に応じて,雌の卵巣が発達することがわかった。

 

P46(別冊67)「物理学の難問題に挑む“くりこみ群”」

K.G.ウィルソン

くりこみ群の理論は,強磁性体や乱流など長さの尺度を同時に多数もつ難問題を解決する。

 

P74「トカマク型核融合炉の進歩」

H.P.ファース

プリンストン大学のPLT装置により,核融合炉に必要なプラズマ条件がほぼ達成された。

 

P90「超新星の星の誕生」

W.ハープスト/G.E.アソウサ

星間のガスや微塵の拡散した雲が,超新星からの衝撃波で圧縮されて星が誕生するらしい。

 

P100(別冊65)「新しい暗号体系」

M.E.ヘルマン

新しい“公開鍵暗号”は,今まで秘密にしなければならなかった鍵さえも公開できる。

 

P114「サンゴ礁の科学」

T.F.ゴロー/N.I.ゴロー/T.J.ゴロー

生物の豊富な巨大なサンゴ礁は,小さなサンゴのポリプの群体により築かれたものである。

 

 

サイエンス1979年11月号

P8(別冊50)「脳」

D.H.ヒューベル

人間の脳の働きを解明することは,神経生物学の中心課題であり現代化学の課題でもある。

 

P20「ニューロン」

C.F.スティーブンス

脳を構成するこれら神経細胞は,神経インパルスを軸索から伝達し樹状突起で受けとる。

 

P34「単純な神経系」

E.R.カンデル

アメフラシのような下等動物のごく簡単な神経系でも,ある種の記憶や学習が可能である。

 

P52(別冊50)「脳の神経回路網」

W.J.H.ナウタ/M.ファイアターク

中枢新経系にある無数のニューロン1個1個が,他の数千個のニューロンと結合している。

 

P68「脳の発生」

W.M.コーワン

胎児の脳内では1分間に数十万個のニューロンが生まれ,それぞれ所定の位置に移動する。

 

P82(別冊50)「脳内の化学伝達物質」

L.L.アイバーセン

およそ30種類の化学伝達物質が,あるニューロンから他のニューロンへ信号を伝えている。

 

P98(別冊50)「視覚の脳内機構」

D.H.ヒューベル/T.N.ウィーゼル

一次視覚野の研究によって,大脳皮質における知覚情報の処理過程が明らかになってきた。

 

P114(別冊50)「運動の脳内機構」

E.V.エバーツ

脳や脊髄から筋に向けて出される司令信号は,フィードバック信号により調和されている。

 

P126(別冊50)「脳と精神活動」

N.ゲシュヴィント

大脳の左右両半球の働きに見られる差は,左右両半球の解剖学的な相違とみごとに一致する。

 

P138「人間の脳の障害」

S.S.ケティ

脳障害は,外傷や感染などのほか,遺伝と環境との相互作用によっても引き起こされる。

 

P148「脳を考える」

F.H.C.クリック

脳の働きがどうなっているかを理解するには,新しい検証法と新たな思考法が要求される。

 

 

サイエンス1979年12月号

P9「酸性雨」

G.E.ライケンズ/R.F.ライト

硫黄と窒素の酸化物の放出量増大にともなって,雨や雪の酸性度が急激に高くなってきた。

 

P20(別冊68)

直鎖状高分子導電体

A.J.エピシュタイン/J.S.ミラー

有機化合物や高分子化合物のなかには,単一軸の方向にだけ電気をよく伝えるものがある。

 

P32「構成的数学

A.コールダー

数学が発見されるものか発明されるものなのかについては,1世紀以上も論争されてきた。

 

P50「ワニの進化」

E.ビューフトー

ワニが出現したには2億年も前のことであり,過去には四肢がひれ状をした種も存在した。

 

P60(別冊63)「超音波顕微鏡」

C.F.クエート

超音波映像技術は,光学顕微鏡像の分解能に匹敵する画像を得る新しい装置を生みだした。

 

P74(別冊30)「光合成をするチラコイド膜」

K.R.ミラー

葉緑体中のチラコイド膜は,エネルギー変換が可能なように,非対称な構造をもっている。

 

P86「キラウエアの溶岩湖」

T.L.ライト/R.W.デッカー

溶岩湖は,マントルから上昇してくるマグマの性質をはじめ貴重な情報を提供してくれる。

 

P98(別冊80)「人間と動物の色覚」

大山正/古坂哲巌/木藤恒夫

ニホンザルは人間と同じ色覚をもっていることが,いくつかの実験によってはっきりした。