サイエンス1978年:掲載論文一覧

※「日経サイエンス」の1990年9月以前の誌名は「サイエンス」です。

※各項目は,掲載ページ,論文名,著者名,内容の要約の順に並んでいます。

 

 

サイエンス1978年1月号

P9「米国の雇用問題」

E.ギンズバーグ

米国の雇用問題では,量的な側面ばかりでなくその質的な側面も考慮しなければならない。

 

P20「ドリップかんがい法」

K.ジョージ

プラスチック・パイプを使用したこのシステムは,水が節約でき塩水の利用も可能である。

 

P28「ネコと人間の歴史」

N.B.トッド

ネコと人間のかかわりは古く,その突然変異体の分布は人間の好みや移動を反映している。

 

P56「フリント製石器はどう使われたか」

L.H.キーリー

石器の刃の部分を詳細に調べることによって,それが何にどのように使われたかがわかる。

 

P62「集団をつくる銀河」

E.J.グロス/P.J.E.ピーブルス

銀河は集まりやすく,それらが銀河団をつくり,そしてさらに大きい超銀河団を形成する。

 

P63「有機リンの慢性中毒」

石川哲

低毒性といわれる有機リンでも,長時間それに接触すると,近視や精神障害をひき起こす。

 

P84「火星に生命を探る」

N.H.ホロビッツ

火星に生命が存在するかどうか,バイキング着陸船の実験では肯定も否定もされなかった。

 

P96(別冊30)「受精のプログラム」

D.エペル

精子と卵の融合によって卵内のイオン濃度が一時的に変化し,胚発生の引き金が引かれる。

 

サイエンス1978年2月号

P8「コロナ・ホールと太陽風」

桜井邦明

膨脹するコロナ・ガスは,太陽風と呼ばれる高速プラズマ流となり地球にも影響を及ぼす。

 

P20(別冊22)「ウイルスDNAのヌクレオチド配列」

J.C.フィデス

新しい方法が開発され,ウイルスDNAの全ヌクレオチド配列が初めて明らかになった。

 

P36「地震と地振動」

D.M.ブーア

地震の発生と地震時の地面の振動を予知するためには,震源の特徴を理解する必要がある。

 

P56「インフルエンザはなぜ流行するか」

M.M.カプラン/R.G.ウェブスター

ヒトと動物のインフルエンザウイルス株間での遺伝的組み換えが大流行の原因らしい。

 

P72「網膜による色彩の識別」

E.H.ランド

網膜は物体表面の色に応じた光の反射を錐状体細胞と桿状体細胞で感受し,色を識別する。

 

P92(別冊67)「結晶のディスクリネーション」

W.F.ハリス

液晶や指紋などにみられるディスクリネーションは,回転運動による結晶格子欠陥である。

 

P108(別冊21,59)「ツムギアリの高度の社会」

B.K.ヘルドブラー/E.O.ウィルス

ツムギアリは,折り曲げた木の葉を幼虫が吐き出す糸でつなぎ止め天幕上の巣をつくる。

 

P116「耐久消費財の標準化」

G.F.モンゴメリー

米国では国立標準局が中心となり,家庭用器具の耐用性や効率のラベル表示を進めている。

 

 

サイエンス1978年3月号

P9「超微粒体の人工雲母」

大門信利

人工的に合成できる雲母の中には,水を吸って膨潤し劈開して超微粒体になるものがある。

 

P20「森林の減少と二酸化炭素の増加」

G.M.ウッドウェル

森林や海洋は,人間活動により増加する大気中の二酸化炭素を十分に吸収できるだろうか。

 

P22(別冊22)「転移RNAの3次元構造」

A.リッチ/S.H.キム

X線回折を利用して転移RNAの形を調べたところ,L字型になっていることがわかった。

 

P52(別冊25)「星間物質の構造」

C.ハイルズ

電波観測で得た水素原子分布図によれば,星間ガスは巨大な殻構造を形成しているらしい。

 

P68「病原菌はどのようにして付着するか」

J.W.コスタートン/K.J.チェン

病原菌はグリコカリックスという多糖類の繊維により不活性の表面や他の細胞に付着する。

 

P80(別冊70)「実用的な人工膝関節の開発」

D.A.サンステガード/L.S.マチウス

新しい材料が開発されデザインが改良されて,屈伸と回転が可能な人口膝関節が完成した。

 

P90(別冊65)「アルゴリズムの有効性

H.R.ルイス/C.H.パパディミトリュー

数学の計算を計算機で解く時,有効なアルゴリズムが作れるものと作れないものとがある。

 

P106「ローマ時代のカルタゴ」

J.H.ハンフリー/J.G.ペドリー

数年前から始まったカルタゴの総合的発掘により,当時の様子が徐々に明確になってきた。

 

 

サイエンス1978年4月号

P9「精神病患者の社会復帰」

E.L.バスック/S.ガーソン

地域社会に復帰した慢性患者は,適切な治療を受けられぬまま,孤独な存在と化している。

 

P18(別冊28,44,90)「ガンは遺伝する」

C.M.クロース/H.コプロウスキー

ガン細胞の起源には,ヒトの場合,その染色体の欠損が特に関係していることがわかった。

 

P28(別冊55)「超重力理論

D.フリードマン/P.バン・ニューベンホイゼン

自然界の4つの力のうち,最後まで統一できなかった重力をも統一できる理論が現われた。

 

P52「においを識別するシナプス回路」

G.M.シェファード

軸索ではなく樹状突起だけを含む神経回路が情報伝達に役割を演じていることがわかった。

 

P66「海洋性リソスフェアの金属鉱床」

E.ボナッチ

海嶺付近には,金属を多く含んだ海水がわき出しているため,金属鉱床が形成されている。

 

P76「食虫植物」

Y.ヘスロップ・ハリスン

食虫植物は種々の方法で虫をつかまえ,窒素やリンといった栄養分をうまく補給している。

 

P88(別冊45)「コンピュータ制御による組み立て」

J.L.ネバンズ/D.E.ホイットニー

コンピューターによって,生産量がさほど多くない組み立て作業自動化を採算に合わせうる。

 

P104「バクテリアの石灰化と歯石」

高添一郎

口の中の細菌には,みずからの菌体内にリン酸カルシウム結晶を形成していくものがある。

 

 

サイエンス1978年5月号

P8「世界の石油供給動向」

A.R.フラワー

石油の供給は2000年以前にピークに達し,増加する需要をまかないきれなくなってしまう。

 

P18(別冊85)「重いレプトン」

M.L.パール/W.T.カーク

ハドロンの一部のものより重いレプトン属の素粒子が発見され,タウ粒子と名づけられた。

 

P28「電子式電話機」

P.P.ラフ

電気的原理をもとにした従来の電話機に代わり,電子式電話機が近く実用化されるだろう。

 

P44「火星の表面」

R.E.アーヴィドソン/A.B.ビンダ-

バイキング号が撮った写真によれば,火星の表面は地球上の岩だらけの火山原に似ている。

 

P60「森林生態系のエネルギーの流れ」

G.E.ライケンス/F.H.ボルマン

定量的研究の結果,多くの動植物がすむ森林の複雑なエネルギーの流れが詳しくわかった。

 

P74「複合ミラー型核融合実験装置」

三好昭一

有望な複合ミラー方式を検討し実証する実験炉が完成し,核融合炉の実現に一歩近づいた。

 

P86「細胞はATPをどのようにつくるか」

P.C.ヒンクル/R.C.マッカーティ

光や酸化により水素イオンが駆動され,それが酵素系を経てもどる際にATPが生成される。

 

P104(別冊65)「スケジューリングの組合せ数学」

R.L.グラハム

数学と計算機科学によって,仕事する時の最適なスケジュールの立て方がわかってきた。

 

 

サイエンス1978年6月号

P9(別冊53)「原子力・核兵器・国際関係」

D.J.ローズ/R.K.レスター

米国の原子力エネルギー政策の変更は,かえって国際的不安定を招くことになりかねない。

 

P24(別冊30)「細胞はどのように移動するか」

G.アルブレヒト・ビューラー

同じ母細胞から分裂した2つの娘細胞は,互いに鏡像関係にある“食動力学”的軌跡を残す。

 

P34「フィブリノゲンのアミノ酸配列」

稲田祐二

血液の凝固で重要な役割を果たすフィブリノゲンのアミノ酸配列が最近ほぼ決定された。

 

P52「人間化をすすめた食物分配行動」

G.イサーク

200万年前の遺跡が発掘された結果,食物分配行動が人間化への鍵であることがわかった。

 

P70「ハロ現象」

D.K.リンチ

太陽や月の周囲に環状に見えるハロやそれに関連した現象は,無数の氷晶によっておこる。

 

P80「ダイヤモンド鉱床と上部マントル」

K.G.コックス

ダイヤモンドを産する特殊な岩体を調べると,上部マントルのようすや組成がよくわかる。

 

P92「大質量星の誕生」

M.ザイリク

太陽の何層倍も重い星は,ガスと微塵の星間雲中を伝播する衝撃波に誘起されて生まれる。

 

P102(別冊70)「脳卒中を防ぐ微小血管手術」

J.M.フェイン

脳内の血管にバイパスをつくる手術法が開発され,ある程度脳卒中を防げるようになった。

 

 

サイエンス1978年7月号

P9(別冊33)「中性子爆弾」

F.M.カプラン

限定戦争を目的とした中性子爆弾も,いったん使用されれば全面的核戦争は避けられない。

 

P20(別冊59)「セージライチョウのレック・システム」

R.H.ワイリー

レックに集まる雌たちは1,2羽の特定の雄とだけ交尾し,残りの雄は配偶者を得られない。

 

P32(別冊30)「細胞間の結合」

L.A.シュテヘリン/B.E.ハル

動物のいくつかの組織を構成している重要な細胞は,特殊な構造で互いに結びついている。

 

P48(別冊70)「超音波による医療診断」

G.B.デビー/P.N.T.ウエルズ

超音波のエコーを利用して身体の内部を調べる方法は,痛みもなく安全で安上がりである。

 

P62「黒海が干上がったとき」

K.J.ズー

地中海と切り離されていたころ,川の流れが変わったため黒海はほぼ干上がってしまった。

 

P76(別冊72)「宇宙の背景幅射とエーテル」

R.A.ミューラー

私たちは銀河系は3Kの宇宙背景幅射に向かって秒速600キロほどの速さで働いている。

 

P90「芸術創造と太陽体験」

徳田良仁

太陽がどのように見えるかということから,芸術家の作品創造の一面を知ることができる。

 

P100「ローマ時代の水利技術」

N.スミス

ローマ時代の水利技術は非常にすぐれており,現在でも当時のダムが実際に使われている。

 

 

サイエンス1978年8月号

P9「軽い元素の特異核」

J.チェルニイ/A.M.ポスカンザー

寿命の短い特異核を人工的につくって検出し,崩壊様式を調べる実験技術が進歩してきた。

 

P24「文字誕生以前の記録法」

D.シュマン・ベセラ

シュメール文字の発明よりかなり前に,西アジアでは粘土製証票を会計などに用いていた。

 

P36「カはどのように血を吸うか」

J.C.ジョーンズ

ネッタイシマカは精巧な吸血器官をもち,約3分半ほどで2.8mgの人の血を吸う。

 

P48(別冊48)「宇宙メーザー」

D.F.ディキンソン

星の大気や星雲中のある場所では,メーザー作用により強いマイクロ波が放射されている。

 

P62(別冊68,79)「アモルファス金属」

増本健

結晶構造をもたないアモルファス金属は,従来の金属にはないすぐれた性質をもっている。

 

P74「胚における組織の形成」

R.ゴードン/A.G.ジャコブソン

胚の段階で組織を形成する力は細胞間の収縮と伸長の2力であることが実験的にわかった。

 

P84「石材の風化と防腐」

K.L.ガウリ

都市では建築用石材の風化ははげしいが,ポリマー処理を施せばこれを防ぐことができる。

 

P93(別冊65)「複雑さの理論」

N.ピッペンジャー

複雑さの理論は,電話交換機など複雑なシステムをより少ない部品でつくる目やすを示す。

 

 

サイエンス1978年9月号

P8「新しいエンジンの開発は可能か」

D.G.ウイルソン

現在使用されているものより効率が良く排気ガスが清浄なエンジンの開発が望まれている。

 

P22(別冊56)「ひと目で何個のものが見えるか」

大山正

対象が何であれ,私たちがひとめ見て見分けることができる物体の数はほぼ一定している。

 

P34「宇宙から見た夜の地球」

T.A.クロフト

地球の夜側は,都市の照明,油田のガスの炎,焼き畑の火,漁火などで美しく輝いている。

 

P54「超高エネルギー宇宙線」

J.リンズレイ

宇宙線には,人工の加速器でつくった粒子よりはるかに高いエネルギーをもつものがある。

 

P70「合成膜の技術」

H.P.グレゴール/C.D.グレゴール

高分子の合成膜は分子を分離できるので,海水の淡水化をはじめ広く多方面に応用できる。

 

P86「キーウィの生態と進化」

W.A.カルダー

この飛べない鳥がすんでいるニュージーランドには,8000万年もの間哺乳類がいなかった。

 

P98「ポーカーをするコンピュータ」

N.V.フィンドラー

ポーカーをするとき,人間のように経験から学習をして戦略を考えるプログラムができた。

 

P108「神経伝達物質はどのように選ばれるか」

P.H.パターソン/D.D.ポッター

神経細胞が放出する神経伝達物質の種類と働きは,神経細胞の発生初期に決まってしまう。

 

 

サイエンス1978年10月号

P8「ウラン濃縮と遠心分離法」

D.R.オランダー

ガス拡散法にかわって,使用電力が少なくてすむ遠心分離法がウラン濃縮の主役になった。

 

P16「トマト」

C.M.リック

トマトが現在のように普及したのは,絶え間ない遺伝子レベルでの品種改良の結果である。

 

P28(別冊27)「高速コンピュータ“ANMA”」

森亮一/岡田義邦/田島裕昭

連結方法が特別なプロセッサを多数備えた,高速で効率のよいコンピューターが作られた。

 

P46「トゥルカナ湖東岸の古人類」

A.ウォーカー/R.E.F.リーキー

ケニア北東部にあるトゥルカナ湖の東岸は,150万年以上前の古人類の化石の宝庫である。

 

P64「恒星風」

R.J.ウェイマン

太陽をはじめ多くの種類の星から,かなりの量の物質が定常的に宇宙空間へ流出している。

 

P78(別冊67)「負の絶対温度」

W.G.プロクター

これは,0Kより冷たいというよりは,むしろ無限大の温度より熱い状態を表わしている。

 

P88「視床下部による体温調節」

H.ヘラー/L.I.クローショー/H.T.ハンメル

脊椎動物の体温調節をつかさどるのは脳の視床下部であることが,実験でたしかめられた。

 

P98「テクタイトの起源」

J.A.オキーフ

この独特の組成をもつガラス質の小石は,月の火山活動によって形成され地球に飛来した。

 

 

サイエンス1978年11月号

P10「進化」

E.マイヤー

ダーウィン以来の進化論の目的は,生物の進化をうながす原動力を追究することであった。

 

P22「進化のメカニズム」

F.J.アヤラ

進化は,長年にわたって染色体上に蓄積された遺伝的変異と自然選択によって進められる。

 

P38「化学進化と生命の誕生」

R.E.ディッカーソン

最初の生命が誕生するまでには,10数憶年におよぶ有機物の科学的な進化が必要であった。

 

P64「原始生物の進化」

J.W.ショフ

真核生物は,原核生物が作り出した酸素の多い大気に適応し,他種類の生物を生み出した。

 

P86「多細胞生物の進化」

J.W.バレンタイン

多細胞生物が存在するようになったのは,生命の歴史の最後の1/5ほどの期間である。

 

P100「生態的システムの進化」

R.M.メイ

総種数,各種の密度,食物連鎖の長さなどに関連して興味深い進化のパターンが見られる。

 

P112「行動の進化」

J.M.スミス

個体の生存にとり有利とは思えない行動パターンに,なぜ自然選択が味方するのだろうか。

 

P124「ヒトの進化」

S.L.ウォッシュバーン

ヒトに似た生物は400万年前に進化していたが,ホモ・サピエンスは10万年前に出現した。

 

P136「適応と進化」

R.C.ウォンティン

適応が進化の結果であることは明らかだが,自然選択が必ず適応をもたらすとは限らない。

 

 

サイエンス1978年12月号

P8「海を渡る陸鳥」

T.C.ウィリアムズ/J.M.ウィリアムズ

毎年秋になると,北米の東海岸からカリブ海や南米に向けて1億羽にものぼる鳥が旅立つ。

 

P18(別冊25)「太陽系の生成と超新星」

D.N.シュラム/R.N.クレイトン

いくつかの隕石中の同位体は,超新星が太陽系生成の引き金になったことを示唆している。

 

P32「ウプシロン粒子」

L.M.レーダーマン

非常に重い素粒子が発見され,大きな質量をもつ第5のクォークの存在が明らかになった。

 

P52「フェルマの最終定理

H.M.エドワーズ

この有名な定理は,多くの数学者の努力にもかかわらず300年後の今日でも未解決である。

 

P66(別冊50)「血流量で知る脳の働き」

N.A.ラッセン/D.H.イングバール

大脳皮質の血流量の増減から,大脳における神経細胞の活動のようすを知ることができる。

 

P78「動物のパターン形成」

L.ウォルパート

動物の手足が正確に作られるのは,個々の細胞が自分自身の位置を知っているからである。

 

P92「日本の豪雪」

二宮洸三

日本海側ではなぜ大雪が降るのか,その機構を解明し,数値実験で再現することができた。

 

P106「ナスカの巨大な地上絵」

W.H.イズベル

この絵がいつ,誰によって,何のために描かれたのか,新しい調査結果をもとに証明する。