サイエンス1975年:掲載論文一覧

※「日経サイエンス」の1990年9月以前の誌名は「サイエンス」です。

※各項目は,掲載ページ,論文名,著者名,内容の要約の順に並んでいます。

 

 

サイエンス1975年1月号

P9「プラシーボ(偽薬)投与の倫理」

S.ボック

プラシーボの使用に際しては,その危険性を考慮し欺まんを含むものは制限すべきである。

 

P18「太陽エネルギー利用の新システム」

小林正次

限りある化石燃料にかえて,太陽エネルギーを一貫して利用する新システムが提案された。

 

P28(別冊07)「ガの行動と性フェロモン」

D.シュナイダー

ある種のガでは,雌の性フェロモンを雄が触覚にある感受器で感じとり配遇行動が始まる。

 

P42(別冊17)「免疫系の発生と発達」

M.D.クーパー/A.R.ロートン

外界からの異物に対し身体を保護する多様な細胞は,本来一種類の祖細胞から生じてくる。

 

P60「重力理論」

C.M.ウィル

重力理論としては一般相対理論が有力であるが,その他にも多くの説が提唱されている。

 

P68「電力供給系のコンピュータ制御」

H.グラビッチ

電力系統網を制御しその安定性と経済性確保のため,計算機は重要な役割を果たしている。

 

P72「キリンの生理学」

J.V.バレン

心臓や肺から離れた頭部に新鮮な血液を供給するため,キリンは高い血圧をもっている。

 

P92(別冊80)「ネコの眼はものをどう見るか」

F.W.キャンベル/L.マッフェイ

物の見え方には対象とその周囲の輝度の濃淡が関係していることが,ネコで確かめられた。

 

 

サイエンス1975年2月号

P8「目撃者の証言は信頼できるか」

R.バックホート

数々の実験の結果,目撃者による証言は必ずしも他の証言よりも信頼性が高いとはいえない。

 

P18「アポロ11病とエンテロウイルス」

甲野礼作

ガーナとジャワを中心に流行したアポロ病は,エンテロウイルスを病原体とする眼病である。

 

P30「ヒドラにみる形態形成モデル」

A.ギーラー

淡水性のポリプであるヒドラの再生実験から生物の形態形成についてのヒントが得られる。

 

P44(別冊25)「ブラック・ホールを探す」

K.S.ソーン

種々の観測の結果,X線を放射しているシグナスX-1はブラック・ホールの可能性がある。

 

P60「金属の凝固」

M.C.フレミング

鋳物をつくっている金属の特性は,それがどのように凝固していくかによってほぼ決定する。

 

P72(別冊07)「ハトの帰巣性の秘密」

W.T.キートン

ハトは自らの巣へ帰る道すじを発見するために,いくつかの方法を組み合わせているらしい。

 

P92(別冊12)「素粒子の新しい相互作用」

D.B.クライン/A.K.マン/C.ルビア

素粒子の電荷を変えない弱い相互作用が実験的に確認されて,素粒子論に新局面が開かれた。

 

P104(別冊14)「ローマ時代のにせ金づくり」

G.C.ブーン

極度のインフレーションに悩んだローマ時代には,にせ金づくりが社会的な役割を果たした。

 

 

サイエンス1975年3月号

P10「経済指標の分析」

G.H.ムーア

経済予測には,生産,価格,収入,雇用,投資といった指標を分析することが必要である。

 

P18(別冊15,43)「小惑星は隕石の母体か」

C.R.チャップマン

小惑星が反射する太陽光のスペクトルはその起源,進化などの謎を解くカギをにぎっている。

 

P30「炭素の高エネルギー反応」

R.M.レモン/W.R.アービン

宇宙での炭素の反応の多くは高エネルギー状態で起こり,それは生命誕生に関係している。

 

P46「小脳皮質できまる運動神経系」

R.R.リナス

神経細胞間の連結パターンはこの部分で決定されて,神経ネットワークの機能に関係する。

 

P62「自動車の燃費向上」

J.R.ピアス

1980年までには少なくとも自動車の燃料消費の効率を40%高めることができよう。

 

P76「ガの黒化現象と大気汚染」

J.A.ビショップ/L.M.クック

自然環境の変化に伴って,英国に生息するガの白いものと黒いものの生存比率が変化した。

 

P86「糞石が示す先史人類の生活」

V.ブライアント/G.ウィリアムズ=ディーン

化石になったヒトのフンを分析することで,有史前の食事,環境,行動などがよくわかる。

 

P98「ビザンツを守ったギリシャの炎」

和田廣

外敵の脅威に耐えながら1000年余も栄えたビザンツ帝国は,強力な戦闘火器をもっていた。

 

 

サイエンス1975年4月号

P8(別冊15)「太陽系をつくった物質」

L.グロスマン

隕石のひとつ炭素質コンドライトは,太陽系をつくった物質を知る有力な手がかりである。

 

P18「海辺の生物の体内時計」

J.D.パーマー

カニなど磯にすむ生物は,太陽の動きと月の動きに合わせた2種の体内時計をもっている。

 

P28(別冊08)「ウェゲナーと大陸移動説」

A.ハラム

60年前に発表された大陸移動の考えは,50年後の1960年代になってはじめて日の目をみた。

 

P44「染色体タンパクと遺伝子調整」

G.S.シュタイン/L.J.クラインスミス

染色体の核タンパク質はDNAの構造を維持するいっぽう,遺伝子の活性を調整している。

 

P60(別冊12)「素粒子の二重共鳴モデル」

J.H.シュワルツ

強い相互作用をする素粒子は,質量がなく両端が光の速度で動く弦と数学的に同等である。

 

P68(別冊45)「完全無人工場の実現」

N.H.クック

機械部品の少量生産においても,コンピューターの使用により工場の無人化が可能になった。

 

P78「西部地中海を支配したカルタゴの砦」

S.モスカティ

ローマ帝国が興隆するまでの数世紀間,カルタゴの一連の砦は西部地中海を支配していた。

 

P88「サイクロープスの眼と視方向」

大野們

私たちは両眼の間の概念的な眼,つまりサイクロープスの眼で対象の方向を判断している。

 

 

サイエンス1975年5月号

P8「労働における満足感」

L.E.ビョーク

流れ作業に対する不満が大きな問題となっているが,その解決のための実験が行なわれた。

 

P16「サナギの色彩適応とホルモン」

日高敏隆

モンシロチョウとアゲハチョウがサナギになる時の色の違いは,ホルモンの働きで起きる。

 

P30「ガリレオの放物軌道の発見」

S.ドレイク/J.マックラクラン

投げ出された物体が放物線軌道を描くという発見は,注意深い実験によってもたらされた。

 

P46「マントル」

P.J.ワイリー

高温の岩石の集まりであるマントルは,地球の全体積の83%,全質量の67%を占めている。

 

P62「人間相互のコミュニケーション」

A.チャパニス

会話型コンピューターを作るためには,人間相互のコミュニケーションの理解が基礎となる。

 

P70(別冊25)「X線を放射する連星」

H.ガースキィ/E.ファン・デン・ホイベル

X線は,つぶれて密度の高くなった星が質量の大きな星の近くを回る連星から放射される。

 

P84「猛毒キノコ」

W.リテン

テングタケ属がもっている猛毒は,アミノ酸が環状に結合した物質であることがわかった。

 

P98「食物連鎖とワックス」

A.A.ベンソン/R.F.リー

甲殻類はワックスの形でエネルギーをたくわえ,それが食物連鎖での原動力になっている。

 

 

サイエンス1975年6月号

P10「太陽の回転」

R.ハワード

太陽は27日で1回転するが,低緯度の部分は高緯度の部分に比べてより速く回転している。

 

P20(別冊28)「鎌状赤血球貧血症とシアン塩酸」

A.セラミ/C.M.ピーターソン

悪性の貧血をおこす鎌状赤血球症は遺伝病であるが,シアン塩酸で治療することができる。

 

P28(別冊10)「テクスチュアの視覚実験」

B.ジュレツ

視的対象は,すべてそれらを“地”の部分と“図”の部分とに分けることによって知覚される。

 

P47「恐龍」

R.T.バッカー

恐龍は温血動物であり,適応の過程でいくつかの変異をとげて哺乳類や鳥類へと進化した。

 

P68「緑藻と共生するオオシャコガイ」

C.M.ヨング

南海に生息する巨大なシャコガイは,殻の内部に緑藻をすまわせてタンパク質を得ている。

 

P80(別冊30)「成長する植物の細胞壁の特性」

P.アルバーシェイム

細胞壁は植物に一定の形と丈夫さを与えるかたさをもつが,内部の細胞は自由に成長する。

 

P94「高温における金属の変形」

H.J.マックイーン/W.J.M.テガート

熱せられた金属が加工されやすいのは,内部の結晶が少ないひずみで変形するからである。

 

P105「セルフコントロールの医療への応用」

池見酉次郎

心の健康度を高めて身体の健康を促す心身医学には,セルフコントロール法が有効である。

 

 

サイエンス1975年7月号

P11「地震予知」

F.プレス

技術的な進歩によって,信頼できる地震の長期・短期予報を出すことが可能になるだろう。

 

P22「地球外生物をさぐる」

C.サガン/F.ドレイク

地球外の天体に生存している知的生物と,強力な電波によって交信する方法が開発された。

 

P34「森林の遷移」

H.S.ホーン

草地がどのような森林になるかは,土壌の湿度と生育する木の葉の幾何学的配置で決まる。

 

P51「乱数のパラドックス

G.J.チェイティン

ランダム性に関する考察は,数学では何ができるかという本質にかかわる問題を提起する。

 

P60(別冊22)「ポリオウイルスの増殖」

D.H.スペクター/D.バルチモア

ポリオウイルスは人体の細胞中に侵入し,その細胞質を利用してタンパク合成をおこなう。

 

P70(別冊13)「マイクロコンピュータ」

A.G.バクロウ

種々の機能をもつマイクロコンピューターの出現で,コンピュータ利用の新領域が開かれた。

 

P82.(別冊59)「ライオンの社会システム」

B.C.R.バートラム

ライオンの社会は,雌はそのままで雄だけが数年ごとに入れ替わる母系社会となっている。

 

P90(別冊50)「学習行動を支える脳の物質変化」

塚田裕三

学習行動は脳内のアンモニア量の変化をひきおこし,その変化はまた,学習行動を左右する。

 

 

サイエンス1975年8月号

P18(別冊59)「アリの進化と奴隷制」

E.O.ウィルソン

約35種のアリが他種のアリをはたらきアリとして奴隷のように使役し,その集団を支える。

 

P24「肝臓は異物をいかに代謝するか」

A.カッパス/A.P.アルバレス

肝臓では化学組織変換反応が営まれており,薬剤は不活性化され汚染物質は無害化される。

 

P42(別冊12)「プサイ粒子の発見と素粒子論」

S.D.ドレル

電子・陽電子消滅反応により発見された新素粒子は,素粒子の構造に新しい見解をもたらす。

 

P60「脈動する星」

J.R.パーシー

膨脹と収縮をくり返している星の内部の様子は,オルガン管の中の空気の振動に似ている。

 

P72(別冊10)「人は動くものをどう見る」

G.ヨハンソン

外界の動く物がぶれて見えないのは,眼が数学的法則に基づいて機能しているからである。

 

P8「中国の食糧生産」

S.ウォートマン

飢餓に悩まされてきた中国は,近代化農業技術と社会組織の変革で食糧自給をなしとげた。

 

P82「海洋汚染とタール塊」

J.N.バトラー

海洋汚染の最大原因は石油タンカーの廃油に由来するタール塊で,生物を殺すもとになる。

 

P92「酵素モデル」

戸倉清一

構造が複雑な高分子物質の酵素も,酵素模型を合成することでその作用機序が解明された。

 

 

サイエンス1975年9月号

P20(別冊22)「遺伝子操作」

S.N.コーエン

DNAをなかだちとして,ある生物から他の生物へと遺伝子情報を移し変えることができる。

 

P32「人体に対する日光の影響」

R.J.ブルトマン

日光はビタミンDをつくるだけでなく,生物リズムを決定したり,病気をなおしたりする。

 

P46「ジャーナル軸受」

J.C.バイヤーレン

最新の複雑な機械においても,昔ながらの単純な軸受が依然として重要な働きをしている。

 

P62「固体を探る陽電子」

W.ブラント

陽電子を固体に入射したときの反応から,固体の電子的構造や結晶の欠陥の様子がわかる。

 

P72(別冊18)「雷鳴」

A.A.フュー

複雑に鳴り響く雷鳴を分析することによって,稲光の位置,形,走向を知ることができる。

 

P84「大気汚染と都市の緑被」

中島巌

開発によって都市の緑被率が30%以下になると,大気汚染の被害は増大してくる。

 

P9(別冊33)「戦略用ミサイルの精度」

K.ツィビス

現在の技術と装置は,核弾頭を誤差2~3mの精度で目標に到達させられる。

 

P94「蚊よけのメカニズム」

R.H.ライト

蚊は人体の暖湿気に反応するので,その暖湿感受器の働きをさまたげれば蚊をよけられる。

 

 

サイエンス1975年10月号

P10「巨大な電波星雲」

R.G.ストローム/G.E.マイレイ/J.オールト

世界最大の電波望遠鏡を用いて,いくつかの巨大な電波星雲の大きさや構造が調べられた。

 

P22「バクテリアはどのようにして泳ぐか」

H.C.バーグ

バクテリアのべん毛は原生動物とは異なってらせん状をしており,そのまま回転する。

 

P32「星で定位をする渡り鳥」

S.T.エムリン

ルリノジコという渡り鳥は,北天の星や星座のパターンと体内時計によって移動していく。

 

P48「カタツムリにみる種内変異」

B.クラーク

同一の種内にみられる多様性は,自然淘汰によって積極的に維持されていると考えられる。

 

P64「有機分子のステレオダイナミックス」

竹内敬人

核磁気共鳴を使って双環ヒドラジンや双環ビウレタンの2つの窒素原子の動きがわかった。

 

P78(別冊80)「表面色の知覚」

J.ベック

物体の表面の色彩は,表面の構造と“きめ(テクスチュア)”によって微妙に変化して見える。

 

P88「大西洋中央海溝の底」

J.R.ハイルツラー/W.B.ブリイアン

米仏の新型潜水艇によって大西洋中央海溝が観察され,海洋底拡大の様子が確かめられた。

 

P102「ミシシッピ流域のカホキア遺跡」

M.L.フォウラー

ミシシッピ川のほとりのカホキア遺跡の発掘で,紀元1000年前後の米国の文化が判明した。

 

 

サイエンス1975年11月号

P14(別冊15)「太陽系」

C.サガン<セーガン>

宇宙船をはじめ種々の宇宙探査法の発達により,太陽系の性質は飛躍的に解明されている。

 

P26(別冊15)「太陽系の起源と進化」

A.G.W.キャメロン

太陽系はガスと微塵からなる星雲の収縮作用によって誕生し,それは現在なお続いている。

 

P38「太陽」

E.N.パーカー

太陽のエネルギー源は水素のヘリウムへの転換と考えられているが,まだその確証はない。

 

P48(別冊15)「水星」

B.C.マーレイ

水星は,中心には地球のような鉄の核があり,表面には月のようなクレーターが存在する。

 

P60(別冊15)「金星」

A.ヤング/L.ヤング

つねに金星を覆っている濃密な雲は,その表面の温度を摂氏500度もの高温に保っている。

 

P70「地球」

R.シーバー

地球の著しい特徴は,大気と地殻のダイナミックな活動であり,水が存在することである。

 

P86「月」

J.A.ウッド

月の表面の岩石を調べると,月が誕生してから現在までに6つの段階を経たことがわかる。

 

P98(別冊15)「火星」

J.B.ポラック

火星の表面の多様な地形は,過去の地質学的な活動によって形成されたものと考えられる。

 

P112(別冊15)「木星」

J.H.ウォルフ

木星は13個の衛星をもつ太陽系最大の惑星であり,液体水素と金属水素とからできている。

 

P122(別冊15)「外側の5つの惑星」

D.M.ハンテン

木星より外側にある5つの惑星の大気組成が,分光学測定によってかなり解明されてきた。

 

P130(別冊43)「太陽系の小天体」

W.K.ハートマン

太陽系には9個の惑星のほかに数多くの惑星状天体があり,水星よりも大きなものもある。

 

P144「惑星間の粒子磁場」

J.A.バン・アレン

太陽からの荷電粒子の流れは太陽風と呼ばれ,地球の磁気圏に入りオーロラなどを起こす。

 

 

サイエンス1975年12月号

P9「天然ウラン重水型原子炉」

H.C.マッキンタイヤ

カナダのCandu型原子炉は,米国式と異なり天然ウランと重水を用いる有望な形式である。

 

P22(別冊12)「最新のクォーク理論

S.L.グラショウ

多くの理論を統合した最新の素粒子論では,色と香りをもつ12種のクォークが基本となる。

 

P38「分泌作用と細胞膜の増大」

B.サター

細胞内から物質が分泌されるときには,細胞膜の増大と破裂という現象が関連して起こる。

 

P54「医療用X線像の立体的再生」

R.ゴードン/S.A.ジョンソン

X線で撮影した臓器の異常を,コンピューターによって立体的に再生する方法が開発された。

 

P68「細胞分化の転換は可能か」

岡田節人/江口吾朗

イモリの水晶体再生実験から,細胞の分化の方向が転換する可能性のあることが判明した。

 

P80「マヤ文明と商人階級」

J.A.サブロフ/W.L.ラチェ

スペイン人が中米を征服する直前の数世紀間は,マヤの商人階級が台頭した時期であった。

 

P94「深海の活動的な動物たち」

J.D.アイザックス/R.A.シュワルツローズ

カメラをおろして調査したところ,深海にも活動的な動物が生息していることがわかった。

 

P102「水爆論争とオッペンハイマー」

H.F.ヨーク

解禁された機密文書を検討すると,オッペンハイマーの水爆開発反対の主張は正しかった。