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禁煙ワクチンへの期待〜日経サイエンス2011年11月号より

臨床試験が進行,実用化へ

 

 どの喫煙者もいうように,禁煙は比較的簡単だ。難しいのはいかに逆戻りを防ぐか。やめてから数週間後,あるいは数カ月たっても,一服吸いたい衝動に駆られる。禁煙パッチや禁煙ガムなど,最初の数カ月を切り抜けるための小道具はどれも,こうした衝動に打ち勝つには無力なことが多い。
 そういうわけで,公衆衛生関係者たちは臨床試験が進行中の抗ニコチン・ワクチンに大きな期待を寄せている。ナビ・バイオファーマシューティカルズ社が製造した「ニックバックス」で,すべてのワクチンと同様,人体の免疫系を刺激して特定の目標物(この場合はニコチン)に対する抗体を生み出すことによって作用する。免疫反応は一般に生涯にわたるため,長期の禁煙補助薬になる可能性があるという。

 

脳に入らないよう抗体が結合
 ニコチンの分子は小さいので,ふつうは免疫系の検出を逃れてしまう。小さいため血液脳関門をもすり抜けて脳細胞の受容体と結合し,依存につながる一連の反応を引き起こす。ニックバックスは体内のニコチン分子が大きな輸送タンパク質と化学的に結びつくようにし,免疫系がニコチンを認識して抗体を展開できるようにする。その後に通常のニコチン分子が体内に入ってくると,これらの抗体が結合して分子サイズが大きくなり,血液脳関門を通過できなくなる。
 このワクチンは誰にでも効果があるわけではない。以前の試験では,ワクチンを投与されて高レベルの抗体ができたヘビースモーカーの16%が禁煙開始から1年後もタバコを吸わずにいられた〔これに対しプラセボ(偽薬)を投与されたグループでは6%〕。禁煙しなかった場合でも,多くの抗体ができた人では喫煙量が1日約20本から10本に半減した.(続く)

続きは日経サイエンス2011年11月号に!

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