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細部まで写るX線写真〜日経サイエンス2011年11月号より

「位相コントラスト法」という技法で在来の線源でもはっきりと

 

 旅行カバンに隠された爆弾から乳がんまで,X線は何でも見つけることができるが,従来法は画像が不鮮明で,重要な情報を見逃している恐れもある。これに対し最近,粒子加速器の技術を転用して細部をより鮮明に撮影できるX線技術が登場した。
 在来のX線画像撮影は通常の写真撮影と似ていて,被写体が吸収・透過・散乱した光(X線)をとらえている。細部を映し出すには一般に大量のX線が必要なので,被写体へのX線照射時間を長くするか,シンクロトロンという円形粒子加速器など強力なX線発生源を使って一挙に照射する。だが照射時間を長くすると被写体が傷つく恐れがあるし,シンクロトロンは高価だ。
 そこで英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの物理学者オリヴォ(Alessandro Olivo)らは,物体中を進む際にX線に生じるごくわずかな偏向をとらえて画像化する方法を提案した。シンクロトロンで15年以上前から使われてきた「位相コントラスト画像法」という技術を従来のX線に応用する。
進行方向が変わった光子だけを
 金でできた厚さ100μmほどの格子を被写体の前後に置き,従来のX線源に取り付ける。2枚の格子は穴の位置がずらしてあり,1枚目の格子を通過して直進したX線は2枚目の格子にはじかれるので,邪魔な背景ノイズが減る。被写体を通過中に進行方向が変わった光子だけを検出器でとらえるわけだ。(続く)

続きは日経サイエンス2011年11月号に!

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