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変色して知らせるウエアラブル〜日経サイエンス2020年11月号より

絹をもとにした特殊なインクが環境中の物質に反応して変色する

 

色が変わる新開発のインクは,健康管理や環境モニタリングに役立つ可能性がある。汗に触れると色が切り替わる衣服や,室内に危険なガスが入り込むと変色する壁掛けなどを作れるだろう。このインク調合剤はTシャツからテントまであらゆるものに印刷できそうだ。

 

スマートウォッチやスマート皮膚パッチなどのウエアラブルなセンサー装置は,心拍数や血糖値などを電子回路を使って監視している。これに対しタフツ大学のシルクラボの研究チームが絹をもとに開発したインクは,人体の表面あるいは周囲にある化学物質に反応してその量を数値化できるという。絹は「生体物質を保護する“繭”のように振る舞う」ため,検知と変色に必要な化合物を機能を損なうことなくインクに加えることができると,シルクラボの生物医学工学者オメネト(Fiorenzo Omenetto)はいう。彼が上級著者となった新技術に関する論文は7月のAdvanced Materials誌に掲載された。

 

様々な反応性物質を大面積に印刷可能

研究チームはインクジェットプリンターを使って行ってきた一連の研究に改良を加え,アルギン酸ナトリウムという化学物質によってインクにとろみをつけることによってスクリーン印刷ができるようにしたうえで,様々な反応性物質を添加した。これによって「多数の反応性物質を大面積の表面に簡単に印刷できるようになった」とオメネトはいう。

 

チームは絹の繊維をタンパク質成分に分解し,これを水に懸濁した。次に様々な反応性分子を混入し,環境変化にさらされたときに色がどう変わるかを調べた。布地に印刷して着用すると,例えばpH指示薬を加えた場合なら皮膚の健全性や脱水状態に関する情報を伝えられる。乳酸オキシダーゼなら着用者の疲労度を測れるだろう。こうした色の変化は肉眼で見ることができるが,チームはカメラによる画像解析も導入し,色の変化を連続的に監視して数値データベースを作っている。(続く)

 

続きは現在発売中の2020年11月号誌面でどうぞ。

 

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