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紙きれで山火事と戦う〜日経サイエンス2020年11月号より

紙片に印刷した安価なセンサーで山火事発生の警告を発信

 

近年,山火事で世界各地が大打撃を受け,その激しさはなおもひどくなっている。中国人民大学(北京)の化学者ワン(Yapei Wang)が率いる研究チームは被害の軽減を願い,より早く労力をかけずにこうした火災を検知できる安価なセンサーを開発したという。

 

現在の火災検知法は人間の注意力に頼るところが大きく,効果的な対応が遅れる場合がある。ほとんどの山火事は一般市民から通報されており,それ以外は徒歩での定期巡回や監視塔での発見による。上空を通過する航空機や衛星が異変を見つけることもあるが,「炎はまず地上に現れる」とワンはいう。「空から火が見えたときには,すでに手遅れだ」。

 

イオン液体を利用

これに対し新センサーは木の幹の根元付近に設置でき,急激な温度上昇が生じると近くの受信機に無線信号を送る。この熱はセンサー自体を駆動するエネルギーにもなるため,電池交換の必要がない。カギとなるのは「イオン液体」という溶融塩だ。温度が急変するとイオン液体の内部で電子が移動し,生じた電気エネルギーによって電極が信号を送り出す。この物質を通常の紙の上に印刷し,1個わずか40セントのセンサーを作った。6月のACS Applied Materials & Interfaces誌に報告。

 

オハイオ州にあるマイアミ大学の地理学者マッカーティ(Jessica McCarty,この研究には加わっていない)は,この種のセンサーは原野と都市部が接しているサンディエゴのような場所で役立つだろうという。私有地まで伸びる谷で火災が発生した場合,こうした装置があれば「家のオーナーは消防当局が火災を検知する前にそれを知ることができる」。(続く)

 

続きは現在発売中の2020年11月号誌面でどうぞ。

 

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