中高生が学ぶ サイエンス講義

三菱電機が空中映像披露 〜日比谷高生、表示装置を組み立て

 空中にカラー映像を映し出す未来のディスプレイに関する特別講義が、東京都立日比谷高等学校(東京都千代田区)で2019年12月に開かれた。三菱電機先端技術総合研究所(兵庫県尼崎市)の菊田勇人研究員が講師となり、空中映像表示装置の原理を解説。生徒たちはスマートフォンを使って簡易型の表示装置を組み立てたほか、製品化に向けて具体的な用途について思い思いのアイデアを出し合った。

 講義ではIT見本市「CEATEC2019」に同社が出展した空中タッチ操作ディスプレイを披露し、生徒たちは空中に浮かび上がる動画や空中でのタッチ操作を実際に体感した。同社は未来の技術として2015年に空中ディスプレイの研究を開始。菊田氏は「光は光源から拡散する」「人は目に入る光の情報を脳内で立体的に視覚化する」という性質を利用して、空間に映像を映し出せる原理を説明した。

 空中ディスプレイの主要部品は「光源」、光を透過光と反射光に分離する「ビームスプリッター」(ハーフミラーなど)、光を入射した方向にそのまま反射する「再帰反射シート」(交通標識などに使われている素材)の3つ。解説を聞いた生徒たちは部品を渡されると、スマホを光源にして表示装置を組み立てる課題に挑んだ。4~5人が1チームとなり部品の配置に試行錯誤。空中に画像が浮かび上がると歓声が上がった。菊田氏は「いま学んでいる物理学の原理の応用で装置はできる」と説明した。

製品化のアイデアをグループで議論
 菊田氏は「企業研究者は新技術を社会に役立たせるアイデアも重要」と指摘し、生徒たちは空中ディスプレイの製品化を考えた。グループに分かれて模造紙に様々なアイデアを書き出しながら議論。道路上に矢印などを浮かび上がらせるカーナビゲーションと介護医療の現場での応用などが発表された。三菱電機は工場や病院などで手が汚れていてもタッチ操作できるディスプレイや、大型空中サイネージなどへの用途を検討していると紹介した。

 生徒からは「研究職に就いて新製品で社会課題を解決したい」「日ごろからアイデアを考える習慣を身に付けたい」などの感想が聞かれた。■

(日経サイエンス2020年4月号に掲載)
※所属・肩書きは掲載当時

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協力:日経サイエンス 日本経済新聞社