中高生が学ぶ サイエンス講義

セコムがAIの研究を紹介 〜日比谷高生、深層学習を学ぶ

 東京都立日比谷高等学校(東京・千代田)で人工知能(AI)を学ぶ特別講義が2019年10月に開かれた。セコムIS研究所(東京都三鷹市)の糸賀健サブグループリーダーが、ディープラーニング(深層学習)の仕組みとセコムのセキュリティ事業におけるAIの活用事例を紹介。受講生からはAIの可能性や限界など様々な質問が飛び出した。

 セコムは1998年に防犯カメラの画像をAIで解析して侵入者を自動発見する「セコムAX」を発売。その後もATMコーナーに設置する「振り込め詐欺防止システム」や、歩いている人物を特定する「ウォークスルー顔認証システム」を実用化し、AI技術を活用したサービスを展開している。

人間の知見との組み合わせで実用化
 糸賀氏はこうしたシステムが実用化できるのは「異常の発生・予兆を判断する人間の知見と画像解析AIが組み合わさってこそ」と強調した。例えば、カメラから身を隠そうとする侵入者を見つけるには、異常を適切に定義する人間の知恵と警備のノウハウが欠かせないという。

 また、顔認証ではどんな顔の向きでも識別できるようにするため、1枚の顔画像から様々な向きの顔画像を再現する技術を採り入れていることを紹介。「AIを部分的に使いつつ、人間が独自の工夫を施すところに研究の醍醐味がある」と語った。

 質疑応答では、脳とAIの関係に話題が及んだ。「AIが自ら学んで新たなことができるような存在になるか」という質問に糸賀氏は、「脳もコンピューターも0と1の電気信号で動いている。ただ、人間の脳が行っている『常識や意味の理解』をコンピューターは実行できていない。AIは確率・統計といった数学を使っているが、意味を理解するための方法論が今はないので、それを考える研究が必要になる」と語った。■

(日経サイエンス2020年3月号に掲載)
※所属・肩書きは掲載当時

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協力:日経サイエンス 日本経済新聞社