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酸化銅微粒子で医薬原料合成〜日経サイエンス2020年6月号より

東工大,高価な白金に匹敵する性能を確認

 

東京工業大学の田辺真特任准教授と山元公寿教授らの研究チームは,医薬品などの原料を合成する安価な触媒を開発した。酸化銅の微粒子を合成して炭化水素を酸化する触媒に用い,白金でできた従来の触媒に匹敵する性能を持つことを示した。成果は米科学誌ACS Nano(電子版)に掲載された。

 

炭化水素の一つであるトルエンを酸化すると,医薬品の原料になる安息香酸などを製造することができる。酸化反応の触媒には白金などを使うが,高価なのが難点だ。酸化銅は白金より安価な材料。ただ,酸化銅を大きさ数nm~100nm程度のナノ粒子にして用いても,触媒の性能はほとんど示さなかったという。

 

研究チームはさらに小さい「サブナノ粒子」と呼ばれる大きさ1nmほどの微粒子に注目した。チームはこれまで白金のサブナノ粒子を合成しており,高性能な触媒になることを確認していた。そこで,酸化銅のサブナノ粒子を合成して酸化反応の触媒に用いたところ,白金でできたサブナノ粒子と同程度の性能を示したという。粒子1つに含まれる銅原子の数を12,28,60個と変えてそれぞれ触媒に用いたところ,原子の数が少ないほど性能が高まることを確認した。

 

合成した粒子を解析すると,通常の結晶と異なって構造がゆがみ,銅と酸素の結合が伸びていた。粒子に含まれる銅原子が数十個と少ないため,ほぼ全ての原子が表面に露出するという。このため,安定した結晶を作れずに構造がゆがんで電気的な偏りが生じ,触媒の性能が高まったと分析している。複数の金属元素でできたサブナノ粒子も高性能な触媒になると考えられており,東工大のチームは今後研究を進める予定だ。■

 

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