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サツマイモの警告〜日経サイエンス2020年5月号より

ある品種は仲間から警告を受けるとすぐに防御物質を作り始める

 

ある種のサツマイモは葉が虫などにかじられると強い匂いの化学物質を放出し,自分だけでなく近くにあるサツマイモの葉にも,消化を妨げる防御タンパク質を作り出すように警告する。最近のある研究は,この匂いによる警告システムを追跡した。

 


Forest and Kim Starr

「これは一種の素早い防御策だ」と,昨年11月のScientific Reports誌に掲載された論文を共著した独マックス・プランク化学生態学研究所の植物生態学者ミットへーファー(Axel Mithöfer)はいう。攻撃に備えるよう近くの仲間に化学物質で警告する植物はほかにもあるが,たいていは自分自身の葉が虫に食われるまでは防御物質を作らない。だが,このサツマイモの葉は,近くの仲間が食われて警告を発するとすぐに防御物質を作り出す。

 

ミットへーファーらはこの反応を調べるため,虫害に強いサツマイモ品種タイノン(TN)57とやや弱いTN66(いずれも台湾原産)に毛虫を放った。虫の攻撃に対してどちらも40種類を超える化学物質を吐き出したが,TN57の葉はDMNTという化合物をTN66の2倍放出した。DMNTは他の植物の防御反応にも見られる物質だ。

 

無傷の葉にスポラミンが生成

次に,密封ガラス容器のなかに,健康なTN57と,葉をピンセットで穴だらけにしたTN57を一緒に入れた。するとどちらの植物も,無傷の葉のなかに「スポラミン」というタンパク質の濃度が高い葉が24時間以内に生じた。スポラミンはサツマイモの塊茎にも認められ,人がサツマイモを生で食べると消化不良を起こす原因となっているが,昆虫にも同じトラブルを引き起こす。また,健康なTN57を入れたガラス容器に合成DMNTを加えたところ,葉はすぐにスポラミンを作り出した。(続く)

 

続きは現在発売中の2020年5月号誌面でどうぞ。

 

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