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ペンギンの泳法まねた推進装置〜日経サイエンス2020年3月号より

東工大チーム,翼の動きを分析して応用

 

東京工業大学の田中博人准教授らは,ペンギンの泳ぎ方をまねた水中ドローンの推進装置を開発した。ペンギンが左右の翼を羽ばたかせるように,推進装置は2つの翼を動かして水中を進む。従来の水中探査機のようなスクリューを使わないので,水中の生物や浮遊物を推進装置の中に取り込む危険が少ない。田中准教授らはペンギンのように速度や方向を素早く変えられる水中ドローンの実現を目指す。

 

水中調査などに用いられる探査機は通常,スクリューで前進する。このタイプは,流れが激しい場所や構造物が入り組んだ場所での移動は難しい。生物や水中の網などをスクリューに巻き込む危険もある。そこで,水中で急加速や急旋回ができるペンギンに注目。ペンギンの羽ばたきを再現できれば,スクリューでの移動が難しい場所でもスムーズに進めるとみている。

 

水族館で本物を観察

課題は翼の動かし方の詳しい解明。田中准教授らは2016年から長崎ペンギン水族館(長崎市)の協力を得て泳ぎが速いとされるジェンツーペンギンの体にマーカーを付けて急加速や急旋回の様子を撮影し,3次元の動きを解析した。その結果,翼の動きの主に「羽ばたきの大きさ」「翼を動かす方向」「翼のねじり」を変化させることでペンギンの泳ぎを再現できると考え,推進装置を試作した。

 

水槽に試作した装置を入れて翼をいろいろ動かし,推進速度の変化を調べた。その結果,翼のねじりを加えると,単純に羽ばたかせるのに比べて推進力が6倍に高まることなどを突き止めた。

田中准教授らは,推進装置を備えた水中ドローンを港湾や船舶の保守点検作業に活用できるとみている。さらに泳ぎ方の分析を進めて翼の動作を改良する。2020年度にも推進装置を搭載した水中ドローンを製作して,動作を検証する考えだ。■

 

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