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廃液からパラジウムや金,銀〜日経サイエンス2020年2月号より

パルス状のレーザー光を照射して効率よく,連続処理装置も考案

 


量子科学技術研究開発機構

量子科学技術研究開発機構(量研機構)は,電子部品の製造や家電品の処分の過程で生じる廃液にパルス状のレーザーを照射してレアメタル(希少金属)のパラジウムや貴金属の金,銀など貴重な金属を回収する技術を開発した。廃液中にイオンの状態で存在する金属原子に対して,吸収しやすい波長のパルスレーザーを当てると,電子と結びついて最大で約100nmの金属の微粒子が生成される。

 

実験では溶液中に含まれたパラジウムの9割以上を回収することに成功。金や銀の微粒子も生成できることを確認した。量研機構は回収の詳しいメカニズムを解明するとともに,廃液を流しながら連続で処理できる装置の開発に取り組む。

 

高エネルギーで不安定な状態に

電子部品製造のめっき工程や使用済み小型家電の処分時に生じる廃液などにはレアメタルや貴金属が含まれており,「都市鉱山」とも呼ばれている。こうした国内の都市鉱山の埋蔵量は,資源国に匹敵するといわれている。ただ,利用するには効率良く回収する技術が求められる。

 

廃液から金属を回収する代表的な技術としては,廃液を電気分解して金属を析出させる手法がある。回収効率は高いものの,大電力が必要で連続処理には向かない。電極に付着した状態で析出するため,そこからはがすのにも手間がかかる。ランプの光を活用する回収方法もあるが,金属の生成や回収に時間がかかる。生成される微粒子の大きさも10nm程度で小さい。

 

量研機構が開発した技術は,廃液にパルス状のレーザー光を照射するだけで回収できるのが特徴だ。液中のレアメタルなどは電子を手放した陽イオンで存在している。これに対して,特定の波長のレーザー光を瞬間的に強く照射すると,高いエネルギーを持った不安定な状態になる。回収はこの性質を応用している。

 

電子を放出しやすいアルコールや,光の吸収を補助するポリ酸などを廃液に混ぜる。レーザー照射によって不安定になった状態の金属イオンが,廃液中の電子と結びついて中性の原子に変わり,これらが集まると微粒子になる。市販のフィルターを使って簡単に回収できる。(続く)

 

続きは現在発売中の2020年2月号誌面でどうぞ。

 

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