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見えた!分子トラップ〜日経サイエンス2019年12月号より

捕捉されたCO2分子を撮影

 

生物学で使われている技術を借用することで,一連の分子“ケージ”に捕捉された二酸化炭素(CO2)分子の画像が初めて撮影された。

 

「金属有機構造体(MOF)」は特定の気体分子を捕らえるために設計された非常に多孔質なポリマーで,様々な気体の分離・精製が可能だ。少量でも大量の気体を捕捉でき,1gの構造体でも気体を吸着する表面積はフットボール競技場の2倍近くに及ぶ。金属有機構造体は水素自動車のタンクや燃料電池向けの水素の貯蔵(冷却の必要がない)や,地球温暖化の原因となるCO2の回収・貯留など,様々な用途が提案されている。

 

CO2を捕捉した金属有機構造体をスタンフォード大学の物質科学者リー(Yuzhang Li)らが透過型電子顕微鏡で調べようとしたところ,強力な電子ビームによって試料のハニカム構造が「溶けてしまった」という。そこで生物学者がデリケートなタンパク質やウイルス,細胞小器官を撮影する際に使っている手法を試した。液体窒素によって物質を−170℃の低温に冷やして安定化したうえで,電子顕微鏡のビーム強度を上げた。

 

この結果,露出時間の長い撮影が可能になり,ZIF-8 という金属有機構造体そのものだけでなく,内部に捕捉されたCO2分子まで明らかになった。結果はMatter誌8月号に報告。

 

この瞬間冷凍処理によって,金属有機構造体が気体を捕捉する機構に関する詳しい研究が可能になるだろうとカリフォルニア大学バークレー校の物質化学者ロング(Jeffrey Long,今回の研究には加わっていない)はいう。例えば3D画像を生成して,金属有機構造体がいかに素早く効率的に気体を吸着するかを調べられるだろうとリーはいう。■

 

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