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我が子を遠くへ運ぶカエル〜日経サイエンス2019年12月号より

近くの水たまりをパスして父ガエルは遠くの池を目指す

 

落ち葉のなかでヤドクガエルの卵からオタマジャクシがかえると,それをじっと待っていた父親の背中によじ登る。そして父親は子供たちを背中に乗せて水のある場所へ運ぶ。アマゾンの雨林にいる鮮やかな色の模様があるこの両生類を調べた最近の研究から,父ガエルは近くの水たまりをスキップしてわざわざ遠くまで運ぶ場合が多いことがわかった。貴重なエネルギーを使って,ときには400mも移動する。「これは結構な移動距離だ」と7月のEvolutionary Ecology誌に報告された論文の主執筆者となったスタンフォード大学の生物学者パシュコニス(Andrius Pašukonis)はいう。

 

パシュコニスらはペルーのミスジヤドクガエル7匹と仏領ギアナのアイゾメヤドクガエル11匹のお尻に小さなおむつのような無線発信器を取りつけた。この無線信号によってのべ23回のカエルの移動を追い,オタマジャクシを背負った父親が水辺にさしかかった際にそのまま通り過ぎるか子供を下ろすかを記録した。
 

 

最も遠くまで移動したのはミスジヤドクガエルで,最寄りの池が平均約52mのところにあったのに,平均で215mほども移動した。アイゾメヤドクガエルは平均約19mのところにある池をパスして平均約39m移動した。森を離れ,浸水した牧草地まで我が子を運んだカエルも2匹いた。

 

エネルギーを余分に消費し捕食者に出会うリスクが高くなるにもかかわらず遠くの池まで我が子を運ぶのは,近親交配のリスクを下げ,資源に関する競争を減らすといった進化上の利点があるからだろうとパシュコニスはいう。だが,何が動機となっているのかを厳密に突き止めるのは難しいと,ヤドクガエルの認知を研究しているノースカロライナ大学チャペルヒル校のバーマイスター(Sabrina Burmeister,この研究には加わっていない)はいう。

 

今回の発見は,生息地の減少に脅かされている両生類の保護に役立つ可能性がある。「生息範囲と生息地のタイプ,そこにすんでいる理由を知ることは,どんな保護活動にも非常に重要なことだろう」とバーマイスターはいう。■

 

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