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渡り鳥,ごちそうさま〜日経サイエンス2019年11月号より

サメにとって陸の小鳥は便利な軽食になることもある

 

ミシシッピ州立大学沿岸研究エクステンションセンターの漁業生物学者ドライモン(James Drymon)はイタチザメが吐き出したもののなかに羽を見つけ,最初はそれが不運な海鳥,おそらくカモメかペリカンのものだろうと思った。だが彼ら研究チームがその羽のDNA配列を調べたところ,驚きの結果が出た。羽はチャイロツグミモドキという陸にすむ小鳥のものだったのだ。メキシコ湾のイタチザメの胃のなかに,なぜ陸鳥の羽があるのか?

 

ドライモンらは2010~2018年に若いイタチザメ105匹の胃の内容物を調べた。40%近くが陸にすむ鳥を直近に食べていた。サメの胃から出てきた陸鳥はしめて11種類に上った。5月のEcology誌電子版に報告。

 

サメがときどき小鳥を食べることは1960年代から知られていたが,「私たちの興味を引いたのは,この行動が広く見られることだった」とドライモンはいう。「毎年,多数の事例が生じている」。

 

海と陸の生態系の深いつながり

小鳥は毎年秋と春に集団でメキシコ湾を渡る。悪天候にぶつかると,鳥たちは水上に降りることを強いられる場合があるが,これは実質上,死を意味する。「嵐に関係する事象のために命を落とす渡り鳥の数は数十億羽に上るだろう」とドライモンはいう。サメは年に2回空から降ってくるこのごちそうを昔から利用してきたと彼はみているが,それを確認できるようになったのはつい最近,部分的に消化された羽の持ち主を遺伝子検査で特定できるようになってからだ。

 

この結果は海と陸の生態系がいかに深くつながっているかを如実に示していると,マイアミ大学の海洋生態学者ハマーシュラグ(Neil Hammerschlag)はいう。「イタチザメが驚くべき日和見的雑食性(好都合に乗じて何でも食べる食性)であることを示している」。(続く)

 

続きは現在発売中の2019年11月号誌面でどうぞ。

 

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