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電気装置の故障を予知〜日経サイエンス2019年9月号より

負荷監視センサーで不調を事前に発見

 

米沿岸警備隊の巡視船スペンサー号のディーゼルエンジンは見たところ正常だった。だが新開発のセンサーシステムはエンジン始動前のウォーミングアップに使われる一連のヒーターの故障を表示した。船員がヒーターの金属カバーを外したところ,腐食した配線から煙が出ていた。

 

ヒーターはその機能を失っていただけでなく,「電気絶縁部に擦り切れやひび割れが生じ,火災を起こす寸前だった」とマサチューセッツ工科大学の教授で新システムに関する論文を3月のIEEE Transactions on Industrial Informatics誌に共著したリーブ(Steven Leeb)はいう。「私たちの電源モニターは年間を通じたゆっくりした変化を検知でき,重大な故障が生じる時期を予見していた」。

 

非侵入型負荷監視

このシステムは「非侵入型負荷監視(NILM)」という技術を利用している。船舶も建物も多くの装置が単一の電源に接続されていることが多く,それぞれの装置に流れる電流に独特の変化が生じる。非侵入型負荷監視センサーはこの電気回路網のなかの一点に設置され,それらの独特な“指紋”を抽出して各装置がどれだけの電力を使っているかを判別できる。非侵入型負荷監視の起源は1980年代にさかのぼるが,実用的な応用が登場したのはここ数年のことで,電力会社や独立系の新興企業が住宅やビルの電力使用状況を把握するスマートメーターを開発するようになってからだ。

 

新システムは非侵入型負荷監視データを処理し,その結果を沿岸警備隊の巡視船のダッシュボードに表示する。「このチームは便利なツールを作った」とマサチューセッツ大学アマースト校の電気・コンピューター工学の助教アーウィン(David Irwin)は評する。非侵入型負荷監視の学術研究は難解になりがちなのに対し,リーブのチームは実世界での利用に的を絞り,センサーを商業用途にうまく応用することに成功したとアーウィンはいう。(続く)

 

続きは現在発売中の2019年9月号誌面でどうぞ。

 

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