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IoP:植物のインターネット〜日経サイエンス2019年8月号より

レモンを小さな“ラジオ局”にして水やりの必要性を伝える試み

 

植物はラジオを聞かない。だがギリシャの研究者チームは最近,レモンを小さな“ラジオ局”に変えて,そのレモンがなっている木の水分含有量についての情報をスマートフォンに送信する方法を開発した。同チームがIoT(モノのインターネット)ならぬ「IoP(植物のインターネット)」と呼んでいるものを作る第一歩となる。

 

樹木の水分量を計測するためにセンサーを取り付ける試みは以前にもあったが,「植物の間に無線ネットワークを作り上げ,消費電力わずか数マイクロワット,費用たった数ドルで情報を送信したのは私たちが初めてだ」と,プロジェクトリーダーを務めるクレタ工科大学の電気工学・コンピューター工学の教授ブレツァス(Aggelos Bletsas)はいう。

 

このネットワークはいくつかの基本要素からなる。既存のFMラジオ放送局,木に実っているレモンに取り付けたアンテナ,そのレモンのなかの湿度センサー,アンテナに接続されたトランジスタ,FM受信機(スマートフォンに内蔵されているたぐいのもの)だ。まず,アンテナがFM局からの信号を受信する。アンテナはこの信号をトランジスタに伝える。トランジスタは湿度センサーによって変調されており,植物の水分レベルに応じた速度でトランジスタのオン・オフが切り替わる。土壌や空気が湿っていると低速,乾燥していれば高速になる。最後に,この情報をアンテナから携帯電話の無線受信機に送信する。

 

 

単純なハードとわずかな電力で

このようにして,植物は水が欲しいかどうかを農業者に伝えることができる。「このモバイルFMラジオと1個3ユーロ(約370円)のセンサーを使って,植物の水分を“聞く”ことができる」とブレツァスはいう。「農地1エーカー(約40アール)ごとにこうしたセンサーを2個設置すれば,営農方法と植物を“理解”する方法が変わるだろう」。ただし最大限の結果を引き出すには面積あたりのセンサー数をもう少し増やす必要がありそうで,傾斜地で均等な水やりができない場合は特にその可能性が高いと彼は指摘する。こうしたリアルタイムの情報を利用すれば,空気中と土壌中の水分の管理が向上するほか,農薬の使用量を減らし,施肥を最適化できる可能性があるという。(続く)

 

続きは現在発売中の2019年8月号誌面でどうぞ。

 

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