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コウイカは夢を見る?〜日経サイエンス2019年7月号より

レム睡眠に似た行動が観察された

 

コウイカはカムフラージュの名人として知られるだけでなく,交尾相手を惹きつけ獲物を幻惑させる万華鏡のようなディスプレイでも有名だ。イカやタコと同じ頭足類に属するこの動物は,無数の「色素胞」によってこの妙技を演じている。色素胞は皮下にある色素の小胞で,これにつながった筋肉が伸縮することで体表に色が表れる。最近の研究で,休息中のコウイカが周期的に色を変えて足を引きつらせている様子が観察された。レム(REM,急速眼球運動)睡眠に似たフェーズだと考えられるという。

 

 
多くの動物がレム睡眠を経験する。筋肉は弛緩しているが眼球が活発に動く時期で,ヒトやいくつかの哺乳動物では夢と関連づけられることが多い。沖縄科学技術大学院大学の生物学者イグレシアス(Teresa Iglesias)は,コウイカがヒトと同様の睡眠をしているかどうかはわからないものの,この動物の休息中に出現する活動的なフェーズはヒトなどの脊椎動物で観察されているレム睡眠に似ているという。コウイカを含む系統と脊椎動物が分岐したのは約5億年前だが,今回の発見は睡眠の進化的起源が両者で共通していることをうかがわせるという。

 

腕と眼球が動き,色も変化

イグレシアスらは実験室の水槽に入れたコウイカを24~48時間連続して何回か撮影した。コウイカは休息中に,レム睡眠に似た行動を1回につき2~3分間示した。腕と眼球が散発的に動き,目の周囲の色素胞は黒っぽくなった。これらの現象は覚醒して活動している間や“睡眠”周期のなかでも不活発な時期には観察されなかった。1月のJournal of Experimental Biology誌に報告。(続く)

 

続きは現在発売中の2019年7月号誌面でどうぞ。

 

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